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固形腫瘍への免疫療法
著者: 田中実1
所属機関: 1東京大学附属病院輸血部
ページ範囲:P.938 - P.938
文献購入ページに移動 固形腫瘍免疫の研究は腫瘍関連抗原を探索することから始まる.しかし,それらを単にワクチンとして用いても腫瘍を征圧することはできない.そこで腫瘍関連抗原の免疫を強力に惹起するために樹状細胞を用いた治療戦略が盛んに行われ,樹状細胞療法の臨床研究の数は,大腸癌や肺癌などのさまざまな癌腫を対象に,現在100を超えている.腫瘍は,もともと宿主の免疫抑制機構を逃れて増殖してきているうえ,多くの固形腫瘍の患者は,それまでの化学療法や放射線治療により免疫抑制状態にあり,このような状況下では抗腫瘍免疫の惹起・成熟は難しい.また,一時的に腫瘍抑制効果が得られても,樹状細胞による腫瘍関連抗原の提示時に共刺激シグナル伝達に失敗すると免疫寛容が誘導され,腫瘍がかえって増大することがわかっている.今後は,腫瘍特異細胞傷害性T細胞を識別する制御性T細胞を選択的に排除する手法を用いた新たな樹状細胞療法の開発が期待される.
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