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文献計量学からみた免疫組織化学の有用性と今後の動向
著者: 中西陽子1
所属機関: 1日本大学医学部病態病理学系病理学分野
ページ範囲:P.1002 - P.1002
文献購入ページに移動 今日,医療現場における免疫組織化学(immunohistochemistry,IHC)の有用性は改めて説明するまでもなく,必要不可欠のものである.IHCの技法は,Coonsらによる蛍光標識抗体法の開発(1951年)に始まり,Nakaneらの酵素標識抗体法(1966年)に続き,染色試薬ならびに機器の進歩・改善を経て,今日に至っている.PubMedによる検索では,2009年までに発表されたIHCに関する論文は約44万件で,その97%は診断に関するものである.1960年代は皮膚,免疫疾患,感染症などに関するIHCの応用論文が癌とほぼ同程度にみられたが,1970年代半ばからは癌の診断への応用に関するものが急増している.また,2000年頃からは乳癌とER,PgR,HER2に関する論文が目立つようになり,診断に関するIHCから治療方針決定ならびに分子標的治療のためのIHCへの変化がみられる.ちなみに治療のためのIHCに関する論文は1990年代からみられるようになり,その数は増加傾向にある.今日,PubMedを利用した文献検索が容易になった.IHCに関する論文に限っても,その目的ならびに対象疾患は時代の社会的ニーズをよく反映していると考えられ,癌の個別化治療のためのIHCの需要が今後いっそう高まることが予想される.
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