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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻12号

2010年11月発行

文献概要

技術講座 免疫血清

キャピラリー電気泳動と検査への応用

著者: 山本佐知雄1 鈴木茂生1

所属機関: 1近畿大学大学院薬学研究科薬品分析学研究室

ページ範囲:P.1138 - P.1145

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新しい知見

 臨床分析や医薬品分析などの分離分析法としては,従来液体クロマトグラフィ(liquid chromatography,LC)やガスクロマトグラフィが用いられてきた.しかし,キャピラリー電気泳動(capillary electrophoresis,CE)がヒト遺伝子解析に大きく貢献したことや,近年のバイオ製剤,特に糖蛋白質性製剤の品質管理では欠くことができないうえ,ネスプ(R)などのエリスロポエチン製剤がオリンピックのドーピング検査の対象となったことから,次第にCEの重要性が認知されるようになった.CEとクロマトグラフィはいずれも試料成分の出現時間とピーク面積から同定と定量を行うことから非常に類似した分析法と捉えられがちであるが,データの信頼性を高めるためにはプレコンディショニングやピーク形状と泳動液成分の関係など,CEの個性に基づく考え方が必要である.さらに最近ではキャピラリー電気泳動/質量分析(capillary electrophoresis/mass spectrometry,CE/MS)がバイオマーカーの探索に利用されるようになり,CEを応用したマイクロチップCEを使った分析法が,臨床診断に利用されようとしている.患者が自らの健康状態を管理するオンサイト分析への応用は,今後ますます加速することが予想される.

参考文献

1) 本田進,寺部茂(編):キャピラリー電気泳動―基礎と実際―.講談社サイエンティフィク,1995
2) 福士惠一,竹田さほり:キャピラリー電気泳動におけるオンライン濃縮法.ぶんせき 2:52,2006
3) Kolch W, Neusüss C, Pelzing M, et al:Capillary electrophoresis-mass spectrometry as a powerful tool in clinical diagnosis and biomarker discovery. Mass Spectrom Rev 24:959-977,2005
4) Metzger J, Schanstra JP, Mischak Hu:uCapillary electrophoresis-mass spectrometry in urinary proteome analysis:current applications and future developments. Anal Bioanal Chem 393:1431-1442,2009
5) Zurbig P, Decramer S, Dakna M, et al:A low molecular weight urinary proteome profile of human kidney aging. Proteomics 9:2108-2117,2009
6) Wittke S, Fliser D, Haubitz M, et al:Determination of peptides and proteins in human urine with capillary electrophoresis-mass spectrometry, a suitable tool for the establishment of new diagnostic markers. J Chromatogr A 1013:173-181,2003
7) Verpoorte E:Microfludic chips for clinical and forensic analysis. Electrophoresis 23:677-712,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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