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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻12号

2010年11月発行

文献概要

けんさ質問箱

HCV抗体第二世代と第三世代における偽陽性の頻度

著者: 吉川真太郎1 野村文夫2 横須賀收1

所属機関: 1千葉大学医学部腫瘍内科学 2千葉大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.1186 - P.1189

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Q.HCV抗体第二世代と第三世代における偽陽性の頻度

HCV抗体二世代が(+)で,三世代が(-)の患者.二世代の結果が偽陽性という判定でしたが,よく起こることなのでしょうか? 三世代が偽陽性になることと,どちらが多いのでしょうか?(岐阜市 K.N.生)

 

A.吉川真太郎*1・野村文夫*2・横須賀收*1

はじめに

 C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus,HCV)感染のスクリーニングにはHCV抗体の測定が有用であり,現在第一世代から第三世代まで開発されている.第三世代の販売当初は第二世代よりも感度が高いとした報告が相次いだが,第二世代でも検出感度は十分であるとする報告もあり,世代間の感度が問題となっていた.また,検出原理も酵素免疫法や粒子凝集法に加え,近年イムノクロマト法や蛍光・化学発光を利用した新しい測定法が開発されており,30種類以上のさまざまな試薬が市販されている.試薬の検出感度は徐々に向上しており,HCV感染症におけるHCV抗体検出率も上昇しているが,各試薬の反応性も多様化してしまったため試薬間での判定不一致が増加している.これに関して一応の収束を与えたのが,国立感染症研究所の検査薬の検討1)をもとに厚生労働省が2002年3月に発表した「医薬品・医療用具等安全情報No.175」における「C型肝炎ウイルス抗体の検出を目的とする体外診断用医薬品の適正使用について」である2)

 今回の質問は第二世代と第三世代の偽陽性の頻度であるが,検査薬の世代間によりウイルス内の対応抗原が異なってくるため,まずはHCVの構造を理解することが重要である.また,HCV抗体はスクリーニングには適しているが,あくまで間接的にHCV感染を証明する方法でありHCV感染診断の確定はPCR(polymerase chain reaction)によるHCV-RNAの検出であることを忘れてはならない.本稿では厚生労働省の「医薬品・医療用具等安全情報175号」を踏まえ質問に回答するとともに,HCV感染のスクリーニングの概要につき解説したい.

参考文献

1) 国立感染症研究所 体外診断薬委員会:国内で市販されているC型肝炎ウイルス関連抗体(HCV抗体)検出用体外診断用医薬品の再点検.臨床病理50:313-317,2005
2) 厚生労働省医薬局:C型肝炎ウイルス抗体の検出を目的とする体外診断用医薬品の適正使用について.医薬品・医療用具等安全情報No.175,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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