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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻13号

2010年12月発行

文献概要

コーヒーブレイク

ブランチラボから自主運営回帰―第2回 挫折編

著者: 木村浩則1

所属機関: 1市立柏病院検査科

ページ範囲:P.1226 - P.1226

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 新天地での未来に理想と希望を抱き,小さな公立病院の検査技師長として3年前に就任した.公立病院といっても公設民営化した病院なので,地方公務員ではない.そして世間知らずの私はそのギャップに悩まされることとなる.

 病院長は,非常に温厚で優しく,「期待しています.頑張ってください」という言葉をくれた.民間病院はともかく,公立病院でも人と金を握っているのは大方行政の事務である.理事長とか事務長といわれる人たちが病院経営の黒幕と言ってもいいくらいである.この病院も例にもれず影の実力者は病院経営担当副院長の事務長らしい.この事務長,コンサルタントあがりでかなりのツワモノである.「この病院は法を犯さない限り何をやろうと自由だ」という.「白紙だから好きに絵を描いていい」ともいう.かなり話のわかる事務長である.でも「好きに絵を描いていい」という言葉の意味が検査室の業務に就いてすぐに理解できた.この検査室には,管理職がいない.10年以上働いた検査技師はひとりだけで,あとはここ数年間に入ってきた人たちばかりである.検査室の人間関係も複雑でみんな辞めてしまったらしい.検査室の運営に管理を必要としないブランチラボが最適と判断したのが,ことの真相のようだ.すでに原爆が投下された焼け野原に,ひとりたたずむわが運命やいかにというところである.そりゃあ,好きに絵を描けるでしょうよ.検査室が崩壊してしまい何もないのだから….心の中でひとり呟く.でも,本当に描かせてくれるのかしら?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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