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Laboratory Practice 〈生理〉
―症例から学ぶ呼吸機能検査②―換気機能障害―OSAS―睡眠中の閉塞性障害
著者: 伊志嶺朝彦1 藤田次郎2
所属機関: 1社会医療法人敬愛会 中頭病院呼吸器内科 2琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野(第一内科)
ページ範囲:P.117 - P.120
文献購入ページに移動閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome,OSAS)は睡眠中に呼吸努力があるにもかかわらず,上気道の閉塞または狭小化により換気が停止または低下する病態をもち,睡眠時無呼吸症候群の大部分を占める疾患である.スパイロメトリーは通常正常パターンのことが多く,狭義の閉塞性換気障害ではないが,広い意味で気道の閉塞により換気が障害される疾患として,本稿で述べたい(中枢型の無呼吸症候群やOSASの亜型である混合型無呼吸症候群についてはここでは述べない).
わが国でのOSASは,2003年の山陽新幹線の運転手による居眠り運転事故でマスコミに取り上げられたことによりその疾患概念が一般に広がった.わが国での頻度は男性で3.3%,女性で0.5%であり全体では200万人が罹患していると考えられている1).
OSASは近年閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea hypopnea syndrome,OSAHS)とも言われている.呼吸運動または換気の50%が低下し,酸素飽和度が3~4%低下する病態を呈するものを低呼吸と定義し,睡眠1時間当たりに起きる10秒以上の無呼吸とこの低呼吸を合わせて無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index,AHI)と呼んでいる.ガイドライン上の定義は「日中の過度な眠気もしくは閉塞型無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い,かつAHIが5以上」としている2).
本稿では,OSASの診断および重症度判定,さらには治療効果判定に用いられるポリソムノグラフィ(polysomnography,PSG)の評価に関して,実際の症例を通して解説する.
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