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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻3号

2010年03月発行

文献概要

技術講座 生化学

―ホルモンの測定シリーズ・12 膵臓・消化管系:1―グルカゴン,ガストリン

著者: 泉谷昌志1

所属機関: 1国立がんセンター研究所生化学部

ページ範囲:P.189 - P.193

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新しい知見

 グルカゴンは膵臓ランゲルハンス島α細胞から分泌されるペプチドホルモンであるが,これを認識する抗体と反応する,より大きい分子量の蛋白が腸管で発現していることが以前から知られており,“腸管グルカゴン”などと呼ばれていた.その後の研究により,同一遺伝子(ヒト第2染色体長腕上のGCG遺伝子)からプレプログルカゴンと呼ばれる180アミノ酸長の前駆体蛋白が産生された後,それが異なる部位で酵素的に切断されることにより,グルカゴンをはじめとした複数のポリペプチドになることがわかった(図1).この切断は組織特異的であり,腸管のL細胞ではグルカゴン以外のグリセンチン,オキシントモジュリン,GLP(glucagon-like peptide)-1,GLP-2が産生されるが,これらの生理機能や,糖尿病などの病態との関連性についても探索が続けられている.

参考文献

1) Gromada J, Franklin I, Wollheim CB:Alpha-cells of the endocrine pancreas:35 years of research but the enigma remains. Endocr Rev 28:84-116,2007
2) 泉谷昌志:検査値を読む グルカゴン.内科 93:1338,2004
3) 社団法人日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 インビトロテスト専門委員会 イムノアッセイ研究会:第29回イムノアッセイ検査 全国コントロールサーベイ成績報告要旨(2007年).Radioisotopes 57:617-668,2008
4) 社団法人日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 インビトロテスト専門委員会 イムノアッセイ研究会:第25回イムノアッセイ検査 全国コントロールサーベイ成績報告要旨(2003年).Radioisotopes 53:523-594,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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