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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻3号

2010年03月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

劇症肝炎

著者: 与芝真彰1 井上和明2

所属機関: 1せんぽ東京高輪病院 2昭和大学藤が丘病院内科

ページ範囲:P.203 - P.208

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疾患概念

 肝は再生力と予備力に富む臓器であるが,その再生力を上回る速度で,予備力を上回る範囲に至るまで細胞が破壊され,または変性し,その機能を失うと種々の肝不全症状を呈することになる.これを急性肝不全(acute liver failure,ALF),または劇症肝不全(fulminant hepatic failure,FHF)と呼んでいる.その原因は多彩であり,ほとんどの疾患が原因となる(表1).

 原因I(病理学的に肝細胞変性壊死のほか,単核球の浸潤など炎症反応が見られる病態,通常ウイルス性,自己免疫性,アレルギー反応による薬剤性などの肝障害の際に認められる)によって発生する肝炎を劇症肝炎と呼ぶ.原因がIIのその他の場合は,大半は原因自体が肝細胞を破壊していると考える.最も有名なものは,英国で多い自殺目的のアセトアミノフェンの過剰服用である.アセトアミノフェンは肝細胞内のグルタチオンを枯渇させる作用があり,15g以上のアセトアミノフェンを服用すると誰でも劇症肝不全を起こす.これをアレルギー性の薬剤性肝炎と区別して中毒性肝障害と呼んでいる.この区別は重要で,IIに属する疾患であれば原因の除去により肝細胞破壊は終息するが,Iに属する疾患の場合,肝炎では宿主側の免疫応答が肝細胞破壊に寄与していると考えられるので,その対策が重要となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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