文献詳細
文献概要
Laboratory Practice 〈一般〉
尿中好酸球の診断的意義
著者: 宿谷賢一1 田中雅美1 下澤達雄1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.282 - P.285
文献購入ページに移動腎・泌尿器系の炎症性疾患では,尿中白血球の増加は頻繁に認められる.その大部分は好中球であることから,尿沈渣検査では,詳細な白血球分画は軽視されている.しかしながら,詳細に観察するとリンパ球,好酸球,単球が確認できる.白血球分画を確認することは病態解析の手がかりになり,臨床的意義も大きい.特に尿中好酸球の検出は,薬剤性・非薬剤性の間質性膀胱炎の診断に役立ち,尿路結石症でも尿中好酸球は認められるとの報告1)がある.
尿中好酸球の鑑別方法としては,尿沈渣検査にて無染色やステルンハイマー染色により分類可能なときもあるが,鏡検に熟練を必要とすることから尿沈渣検査の確認は敬遠されがちである.そのため一般的に塗抹標本を作製し血球染色であるメイ・ギムザ染色などや,鼻汁中細胞染色法であるハンセル染色2)による鑑別が行われている.しかしながら,これらの方法は塗抹標本を作製しなければならず,標本作製時に細胞崩壊が起こる場合があり判定が困難である.このようなことから,筆者らはハンセル染色を尿沈渣検査に応用することで塗抹標本を作製せずに,尿沈渣中での染色が容易な日常検査に適した方法3)に改良し,尿中好酸球増多の客観的評価が容易に行えることを提唱してきた.
参考文献
掲載誌情報