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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻4号

2010年04月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈一般〉

pHが試験紙法による尿蛋白質測定に与える影響

著者: 鈴木優治1

所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科

ページ範囲:P.299 - P.302

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はじめに

 pH指示薬の蛋白誤差を応用した試験紙法が尿蛋白質の定性検査,半定量検査に広く用いられている.濃縮された成分が多い尿を分析対象とする,試験紙法では測定誤差を発生させる種々の要因が存在する1,2).尿pHは生理学的には概ねpH4~8の範囲で変動し,蛋白誤差による発色が著しいpH依存性を示すことから3),その検出系はクエン酸系緩衝物質でpH3.0に緩衝化されている.検出系pHを変動させる尿中成分と検出系pHの変動で生じる測定誤差の特性について把握しておくことは,検査成績の正しい解釈に不可欠である.本稿では,試験紙法の検出系pHの変動成分および検出系pHの変動により生じる測定誤差の特性について,筆者が純物質とブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)を用いて得た結果4~6)を中心に述べる.

参考文献

1) 青木哲雄,下之薗一郎:尿試験紙法に及ぼす薬剤の影響.衛生検査 26:1117-1124,1977
2) 岩瀬正子:尿タンパク1.Medical Technology 8:1343-1349,1980
3) Suzuki Y:Guidance for selecting the measurement conditions in the dye-binding method for determining serum protein;theoretical analysis based on the chemical equilibrium of protein error. Anal Sci 17:1263-1268,2001
4) 鈴木優治:試験紙法による尿タンパク質定性検査におけるpH変化による測定誤差.分析化学 57:755-762,2008
5) 鈴木優治:試験紙法による尿蛋白質定性検査における検出系pHの変動成分およびその発色への影響.医学検査 57:1239-1246,2008
6) 鈴木優治:試験紙法による尿蛋白質定性検査におけるクレアチニンの影響の特性.医学検査 58:996-1002,2009
7) Freiser H, Fernando Q:イオン平衡(藤永太一郎,関戸栄一訳).化学同人,pp76-79,1967
8) 伊藤機一:簡易検査法(特に尿試験紙によるテスト)―なにを使って,なにを測るか.その測定原理―.日本臨床40(秋季臨時増刊号):1096-1112,1982
9) 富田仁:試験紙法による尿蛋白測定.検査と技術 10:721-725,1982
10) Suzuki Y:Characteristics of a protein error in determination of serum protein in the presence of inorganic salt. Anal Sci 22:269-274,2006
11) 鈴木優治:色素結合法における蛋白誤差への共存イオンの関与に関する研究―化学平衡論と実験による解析.医学検査 55:827-834,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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