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Laboratory Practice 〈一般〉
pHが試験紙法による尿蛋白質測定に与える影響
著者: 鈴木優治1
所属機関: 1埼玉県立大学保健医療福祉学部健康開発学科
ページ範囲:P.299 - P.302
文献購入ページに移動はじめに
pH指示薬の蛋白誤差を応用した試験紙法が尿蛋白質の定性検査,半定量検査に広く用いられている.濃縮された成分が多い尿を分析対象とする,試験紙法では測定誤差を発生させる種々の要因が存在する1,2).尿pHは生理学的には概ねpH4~8の範囲で変動し,蛋白誤差による発色が著しいpH依存性を示すことから3),その検出系はクエン酸系緩衝物質でpH3.0に緩衝化されている.検出系pHを変動させる尿中成分と検出系pHの変動で生じる測定誤差の特性について把握しておくことは,検査成績の正しい解釈に不可欠である.本稿では,試験紙法の検出系pHの変動成分および検出系pHの変動により生じる測定誤差の特性について,筆者が純物質とブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)を用いて得た結果4~6)を中心に述べる.
pH指示薬の蛋白誤差を応用した試験紙法が尿蛋白質の定性検査,半定量検査に広く用いられている.濃縮された成分が多い尿を分析対象とする,試験紙法では測定誤差を発生させる種々の要因が存在する1,2).尿pHは生理学的には概ねpH4~8の範囲で変動し,蛋白誤差による発色が著しいpH依存性を示すことから3),その検出系はクエン酸系緩衝物質でpH3.0に緩衝化されている.検出系pHを変動させる尿中成分と検出系pHの変動で生じる測定誤差の特性について把握しておくことは,検査成績の正しい解釈に不可欠である.本稿では,試験紙法の検出系pHの変動成分および検出系pHの変動により生じる測定誤差の特性について,筆者が純物質とブロムフェノールブルー(bromphenol blue,BPB)を用いて得た結果4~6)を中心に述べる.
参考文献
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4) 鈴木優治:試験紙法による尿タンパク質定性検査におけるpH変化による測定誤差.分析化学 57:755-762,2008
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6) 鈴木優治:試験紙法による尿蛋白質定性検査におけるクレアチニンの影響の特性.医学検査 58:996-1002,2009
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