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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻6号

2010年06月発行

文献概要

ワンポイントアドバイス

大腸癌における便中ラクトフェリン測定の有用性

著者: 渡辺明日香1 濱野康之1 松瀬亮一1 平田一郎2

所属機関: 1株式会社いかがく研究開発本部 2藤田保健衛生大学医学部・消化管内科学講座

ページ範囲:P.422 - P.423

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はじめに

 大腸癌とは結腸癌・直腸癌の総称であり,近年わが国で罹患率・死亡率が漸増している疾患である.大腸癌検診は癌の早期発見のために有効であり,スクリーニング検査としては,もっぱら便中ヘモグロビン(hemoglobin,Hb)を免疫法で検出する便潜血検査が利用される.しかし,大腸癌における腸管出血は必ずしも普遍的な症状ではなく,また一方,癌に由来しない出血も検出されるため,出血マーカーであるHbの測定だけでは大腸癌の検出に限界がある.そこで,筆者らは炎症マーカーに着目し,便中ラクトフェリン(lactoferrin,Lf)測定が大腸癌の検出に有用であることを見いだした1)
ラクトフェリン(Lf):好中球の特殊顆粒内に存在する分子量約80kDaの鉄結合性の糖蛋白質であり,細菌増殖抑制作用,免疫系細胞の分化制御作用,サイトカインの産生抑制などの免疫反応調節作用をもち,初乳・唾液・涙液などの分泌液に多く含まれる.

参考文献

1) Uchida K, Matsuse R, Tomita S, et alu:uImmunochemical detection of human lactoferrin in feces as a new marker for inflammatory gastrointestinal disorders and colon cancer. Clin Biochem 27:259-264,1994
2) Dvorak HFu:uTumorsu:uwounds that do not heal. Similarities between tumor stroma generation and wound healing. N Engl J Med 315:1650-1654,1986
3) 濱野康之,田端一恵,松瀬亮一,他:消化管スクリーニングのための便中ラクトフェリン測定試薬の開発.JJCLA 26:138-142,2001
4) 田端一恵,濱野康之,松瀬亮一,他:便中ラクトフェリンと大腸癌の進行度に関する検討.JJCLA 28:652-656,2003
5) Hirata I, Hoshimoto M, Saito O, et alu:uUsefulness of fecal lactoferrin and hemoglobin in diagnosis of colorectal diseases. World J Gastroenterol 13:1569-1574,2007
6) 田口宏美,土居洋介,小坂美恵子,他:金コロイド凝集法による便中ラクトフェリン測定試薬の開発.臨床病理 56(補):205,2008
7) Sugi K, Saitoh O, Hirata I, et alu:uFecal lactoferrin as a marker for disease activity in inflammatory bowel diseaseu:uComparison with other neutrophil-derived proteins. Am J Gastroenterol 91:927-934,1996
8) 渡辺明日香,濱野康之,松瀬亮一,他:便中マーカー多項目同時測定システムの性能評価と臨床的有用性の確認(2):~炎症マーカー:Lf~.JJCLA 186(補):636,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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