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技術講座 病理
免疫グロブリンκ,λ鎖を免疫染色で上手に染めるコツ
著者: 後藤義也1 安田政実1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
ページ範囲:P.613 - P.620
文献購入ページに移動はじめに
免疫組織化学(immunohistochemistry,IHC)による免疫グロブリン(immunoglobulin,Ig)を構成するL鎖(κ鎖,λ鎖)の検出は,病理診断のどのような場面で必要とされているのだろうか.検査の現場では,自動免疫染色装置の普及により薄切標本をセットすれば,誰が施行しても“スイッチオン”で機械的にIHC標本ができ上がる状況になりつつある.そのため,臨床検査技師は,抗体(試薬)の管理や機械メンテナンスのほか,染色後の標本確認が主なIHC関連業務となっている.標本確認では,単に陽性,陰性のみで標本の適否を評価するのではなく,病理診断上に必要な専門的知識をもとに病理診断に最適な結果を提供できる標本であるか否かを評価する力が求められている.
本稿では,「免疫グロブリンκ鎖,λ鎖を免疫染色で上手に染めるコツ」を理解するうえで知っておきたい“基本的事項”,“免疫組織化学の実際”,“ISHによるmRNAの検出”について,これまでの経験と新たな試みを加え概説する.
免疫組織化学(immunohistochemistry,IHC)による免疫グロブリン(immunoglobulin,Ig)を構成するL鎖(κ鎖,λ鎖)の検出は,病理診断のどのような場面で必要とされているのだろうか.検査の現場では,自動免疫染色装置の普及により薄切標本をセットすれば,誰が施行しても“スイッチオン”で機械的にIHC標本ができ上がる状況になりつつある.そのため,臨床検査技師は,抗体(試薬)の管理や機械メンテナンスのほか,染色後の標本確認が主なIHC関連業務となっている.標本確認では,単に陽性,陰性のみで標本の適否を評価するのではなく,病理診断上に必要な専門的知識をもとに病理診断に最適な結果を提供できる標本であるか否かを評価する力が求められている.
本稿では,「免疫グロブリンκ鎖,λ鎖を免疫染色で上手に染めるコツ」を理解するうえで知っておきたい“基本的事項”,“免疫組織化学の実際”,“ISHによるmRNAの検出”について,これまでの経験と新たな試みを加え概説する.
参考文献
1) 多田富雄(監訳):免疫学イラストレイテッド 第3版.南江堂,1995
2) 中村圭子,松原謙一(監訳):細胞の分子生物学 第3版.Newton Press,1995
3) 竹内賢吾:BおよびTリンパ球の分化.日本臨床 58:523-528,2000
4) 梶原道子:リンパ球の分化.綜合臨牀 49:2546-2552,2000
5) 濱川真治:免疫組織化学における精度管理.Medical Technology 37:1269-1273,2009
6) 後藤義也,他:免疫組織化学染色のトラブルシューティング―薄切切片再固定法の有用性.病理技術 72:18-19,2009
7) 鎌田孝一,中村勝,安田政実:免疫組織化学.検査と技術(増刊) 37:1221-1226,2009
8) 小林博久:骨髄標本の染色性向上のコツ.検査と技術 37:425-429,2009
9) 鈴木孝夫,岸本浩次,平山淑子,他:悪性リンパ腫診断のための最近の検査―免疫組織化学・細胞診・遺伝子検査を中心に.医学検査 53:1185-1198,2004
10) 佐野順司,吉本尚子,溝口良順,他:アルギン酸ナトリウムを用いたセルブロック法の有用性についての検討.日本臨床細胞学会誌 44:291-297,2005
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