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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻8号

2010年08月発行

文献概要

けんさ質問箱

HOMA-Rの計算式と基準値

著者: 滝澤壮一1 小林哲郎1

所属機関: 1山梨大学医学部第三内科

ページ範囲:P.648 - P.650

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Q.HOMA-Rの計算式と基準値

HOMA-Rについて,計算式や基準値が統一されていませんが,どうしてでしょうか?(岐阜市 K.N.生)


A.滝澤壮一・小林哲郎

はじめに

 近年,2型糖尿病患者数は国内でも急増している.2型糖尿病の病態ではインスリン分泌能低下とインスリン抵抗性が関与しているが,特にインスリン抵抗性は2型糖尿病発症の主要な危険因子であり,生活習慣と密接な関連性を示す.また,インスリン抵抗性は糖尿病の発症のみならず,動脈硬化性疾患の発症・進展にも関与する.末梢のインスリン抵抗性が存在すると,その結果,高インスリン血症となり,耐糖能障害を起こし,高血圧や脂質代謝異常を起こしてくる.糖尿病が増悪進展するとインスリン抵抗性はさらに増悪し,危険因子が集積されて心筋梗塞や脳梗塞などの糖尿病性大血管障害,特に心血管障害を起こす.今日,インスリン抵抗性を正しく評価することは病態の把握のみでなく,患者の予後を左右する治療の選択にも非常に重要となっている.

 本稿では,これらの病態に関与するインスリン抵抗性の評価方法として臨床的に広く用いられているHOMA-Rを中心に概説したい.

参考文献

1) Turner RC, Holman RR, Matthews D, et al:Insulin deficiency and insulin resistance interaction in diabetes:Estimation of their relative contribution by feedback analysis from basal plasma insulin and glucose concentrations. Metabolism 28:1086-1096,1979
2) 谷山松雄,佐藤尚太郎:インスリン感受性の評価 HOMA-RとHOMA-β.日本臨牀 66:208-214,2008
3) 松澤佑次:糖尿病発症高危険群におけるインスリン抵抗性とその生活基盤に関する多施設共同追跡調査―介入対象としての内蔵肥満の意義の確立―.厚生省健康科学総合研究報告書,2001
4) 桑名文二,浦山修,川井紘一:2型糖尿病におけるインスリン抵抗性の診断のための基準値とカットオフ値.臨床病理 50:398-403,2002
5) 日本糖尿病学会(編):糖尿病治療ガイド2008-2009.p10,文光堂,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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