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HOMA-Rの計算式と基準値
著者: 滝澤壮一1 小林哲郎1
所属機関: 1山梨大学医学部第三内科
ページ範囲:P.648 - P.650
文献購入ページに移動HOMA-Rについて,計算式や基準値が統一されていませんが,どうしてでしょうか?(岐阜市 K.N.生)
A.滝澤壮一*・小林哲郎*
はじめに
近年,2型糖尿病患者数は国内でも急増している.2型糖尿病の病態ではインスリン分泌能低下とインスリン抵抗性が関与しているが,特にインスリン抵抗性は2型糖尿病発症の主要な危険因子であり,生活習慣と密接な関連性を示す.また,インスリン抵抗性は糖尿病の発症のみならず,動脈硬化性疾患の発症・進展にも関与する.末梢のインスリン抵抗性が存在すると,その結果,高インスリン血症となり,耐糖能障害を起こし,高血圧や脂質代謝異常を起こしてくる.糖尿病が増悪進展するとインスリン抵抗性はさらに増悪し,危険因子が集積されて心筋梗塞や脳梗塞などの糖尿病性大血管障害,特に心血管障害を起こす.今日,インスリン抵抗性を正しく評価することは病態の把握のみでなく,患者の予後を左右する治療の選択にも非常に重要となっている.
本稿では,これらの病態に関与するインスリン抵抗性の評価方法として臨床的に広く用いられているHOMA-Rを中心に概説したい.
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