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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻8号

2010年08月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

CEAカットオフ値付近の変動をどのように解釈するか?

著者: 熊谷俊子1 栁奈緒美2 菅野光俊1 伊藤研一3

所属機関: 1信州大学医学部附属病院臨床検査部 2東京医科歯科大学医学部附属病院検査部 3信州大学医学部外科学第2

ページ範囲:P.654 - P.656

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はじめに

 癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen,CEA)は,1965年GoldとFreedmanによってヒトの大腸癌より抽出された糖蛋白で,大腸癌を中心とした各種の癌で増量する汎腫瘍マーカーの一つとして広く用いられている1).早期癌における陽性率は高くないため早期診断の有用性は低いが,種々の癌で上昇するため手術後や化学療法などの経過観察に有用である.しかし,今回のテーマに示されたように,経過観察中にカットオフ値付近で変動した場合,その解釈が困難な場合がある.筆者らの経験した例を紹介しながらその原因や対策について考察してみたい.

参考文献

1) Gold P, Freedman SO:Demonstration of tumor-specific antigens in human colon carcinoma by immunological tolerance and absorption techniques. J Exp Med 121:439-462,1965
2) 松岡雄治,黒木政秀,一木貞徳,他:CEAの基礎.臨床病理 34:372-377,1986
3) 黒木政秀:CEAの抗原性とその測定法.検査と技術 23:845-852,1995
4) 神前五郎:腫瘍マーカーとしてのCEAになお残る問題点―GPI-PLDをめぐって.医学のあゆみ 200:975-981,2002
5) 黒木政秀,富田能弘,仙波垂水:腫瘍関連抗原CEAの新しい利用法.Prog Med 18:1063-1068,1998
6) 松岡雄治:腫瘍マーカー―CEAを中心に.JJCLA 17:700-703,1992
7) 黒木求,阿部裕典,今給黎尚幸,他:CEACAMとPSG―CEAファミリーの新しい名称と機能.最新医学 55:2412-2419,2000
8) 岡本晶子,井上里香,竹岡啓子,他:化学発光免疫測定法による2種類のCEA測定法の評価.JJCLA 26:607-612,2001
9) 藤原拓樹,飯田建一,丸井洋二,他:CEA測定におけるCEA関連抗原の影響.生物試料分析 13:83-88,1990
10) 日野田裕治:癌胎児性抗原(CEA).Medical Practice編集委員会(編):臨床検査ガイド2009~2010.文光堂,pp901-903,2009
11) 川茂幸:腫瘍マーカー.奥村伸生,戸塚実,矢冨裕(編):臨床検査法提要 第33版.金原出版,pp552-563,2010
12) 山田高嗣,仲川昌之,山本克彦,他:追跡調査からみた高CEA血症の癌診断における有用性.日外科連会誌 29:214-221,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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