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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻1号

2011年01月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈病理〉

自動免疫染色装置のピットフォールとトラブルシューティング

著者: 桑尾定仁1 河村淳平1 傳田珠美1

所属機関: 1社会医療法人財団大和会東大和病院病理・臨床検査センター

ページ範囲:P.44 - P.47

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はじめに

 近年,病理検査領域でも自動化が進んでいる.特に,免疫組織化学の分野での自動化がめざましく,自動免疫染色装置の導入が当たり前となった感がある.背景にあるのは分子標的治療に関連して,標的蛋白の異常(過剰)発現や標的遺伝子の増幅状態を組織切片で再現することが求められるようになったためである.具体的な事例としては,乳癌におけるHER2蛋白やHER2遺伝子の検査が挙げられる1).検査結果に高い客観性と相関性が求められるため,個人の力量に裏付けされた用手法よりも,一定の条件下で正確に検査が行われる自動免疫染色(機械法)が時代のニーズにマッチしたからである.言い換えればヒューマンエラーをなくすためとも言える.だが,機械に任せれば染色トラブルは本当に起きないのであろうか.答えは否である.本稿では自動免疫染色装置のピットフォールとトラブルシューティングについて述べ,それを取り巻くヒューマンエラーとの関係について述べる2,3)

参考文献

1) 桑尾定仁:乳がんにおけるHER2蛋白の過剰発現とHER2-FISH異常値の相関性―検査結果をどの様に理解し,報告すればよいか.病理技術 72:20-21,2008
2) 河野龍太郎:医療におけるヒューマンエラー.医学書院,2004
3) 桑尾定仁:自動免疫染色時代の免疫組織化学セルフアセスメント.Medical Technology 37:1301-1307,2009
4) 渡部顕章,佐藤雄一,向井清:最新臨床検査機器の全て,自動免疫染色装置.Medical Technology 34(臨増):1576-1580,2006
5) 桑尾定仁:病理診断への免疫組織化学への応用―免疫組織化学の落とし穴と解決法.日本組織細胞化学会(編):組織細胞化学2003,学際企画,pp201-211,2003
6) 桑尾定仁,木村文一,河村淳平,他:迅速固定液「ティシューテックユフィックス」の使用経験―固定から検査結果まで乳ガン病理検査の諸問題を考える.サクラファインテックジャパン,2007
7) 桑尾定仁:分子病理診断時代の免疫組織化学―あなたは固定を取りますか? それとも賦活化をとりますか?.日本組織細胞化学会(編):組織細胞化学2008,学際企画,pp149-163,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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