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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻10号

2011年09月発行

文献概要

増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典 Ⅰ 生化学

血中アンモニア〔NH3

著者: 青嶋弓恵1 秋澤忠男1

所属機関: 1昭和大学医学部腎臓内科

ページ範囲:P.730 - P.732

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検査の概要

 窒素代謝産物(蛋白分解産物)であるアンモニアは,①消化管で食物由来のアミノ酸が腸内細菌により脱アミノ化される,②尿素が細菌や腸管粘膜に存在するウレアーゼの作用により分解される,③グルタミンが肝臓や腎臓で脱アミノ化される,以上により生成される.

 アンモニアは尿素サイクルにより主に肝臓で尿素に合成され,肝臓や筋肉,脳などでのグルタミン酸からグルタミンへの変換過程で利用され,また腎臓でアンモニウム塩として尿中に排泄されることで代謝される.

 血中アンモニア値の変動はこの生成代謝過程のいずれかに異常をきたすことにより生じるが,肝臓は大きな処理予備能をもつことから,多量の筋肉崩壊をきたした場合などを除き,生成の亢進のみで高アンモニア血症をきたすことは稀である.高アンモニア血症の大半は劇症肝炎などの重度の肝障害や尿素サイクルの先天的酵素欠損症などによる処理能力の低下,ないしはアンモニアを多く含む門脈血が肝循環を経ずに直接体循環に流入する病態などにより発症する.

参考文献

1) 高柳正樹:高アンモニア血症.小児内科 28:255-262,1996
2) 中村俊之,吉田貴,杉原潤一,他:多変量解析を用いた肝性脳症の臨床病型分類に関する研究.肝臓 29:892-903,1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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