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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻10号

2011年09月発行

文献概要

増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典 Ⅰ 生化学

総ビリルビン

著者: 大澤進1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院保健学科

ページ範囲:P.748 - P.751

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検査の概要

 ビリルビンは血色素の主要構成物質であるポルフィリンの最終代謝産物として胆汁中に排泄される生体色素である.その構造は四つのピロール環が開いた直鎖状の構造をもち,赤色胆汁色素である.光線にあたると退色して構造変化をきたし水溶性が高くなることから,新生児黄疸の治療法として利用されている.

 血清総ビリルビンには図のように非抱合ビリルビン,グルクロン酸が抱合された抱合ビリルビン,そして抱合ビリルビンとアルブミンが共有結合したアルブミン結合ビリルビン(δ-ビリルビン)が存在する.抱合ビリルビンはジアゾ試薬と直接反応できることから直接ビリルビン,非抱合ビリルビンは脂溶性であるためジアゾ試薬とはアルコールなどの溶媒添加により初めてジアゾ反応が生じることから間接ビリルビンと呼ばれる.アルブミンと結合したδ-ビリルビンは水溶性であることから直接ビリルビンとして分類されるが,アルブミンと結合しているためその代謝は遅延する.測定法は化学的な方法としてジアゾ法と化学酸化法,そして酵素法には従来のジアゾ法と同様な反応性を示す方法と抱合ビリルビンのみを特異的に測定する方法がある.

参考文献

1) 山本慶和,細萱茂実,小沼利光,他:日臨技データ標準化事業―本邦において広く共有できる基準範囲の設定.医学検査 60:巻末資料31-44,2010
2) Wu TW, Levy GA, Yiu S, et al : Delta and conjugated bilirubin as complementary markers of early rejection in liver-transplant recipients. Clin Chem 36:9-14,1990
3) 足立幸彦,犬房裕子,山下正己,他:血清Bilirubinの分画測定とその臨床的意義―δ Bilirubin測定を中心として.生物試料分析 9:33-42,1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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