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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻10号

2011年09月発行

増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典

Ⅰ 生化学

浸透圧(血清)

著者: 倉村英二1 松尾収二1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.792 - P.794

文献概要

検査の概要

 浸透圧は単位体積当たりの溶媒に含まれる溶質の分子の総数に比例する.同じ重量の溶質が何種類か存在する場合,低分子量の溶質ほど浸透圧に及ぼす影響が大きいことになる.血清中の主要な浸透圧物質は電解質〔ナトリウム(Na),クロール(Cl)〕,グルコース,尿素窒素である.体液浸透圧は生体の体液恒常性を保つために非常に狭い範囲で厳密に調整されている.その調節機構には浸透圧調節系と体液容量調節系があり,血清浸透圧を測定することにより体液の濃縮,希釈の傾向を知ることができる.

 浸透圧の測定には氷点降下法が用いられる.浸透圧とその水溶液の氷点降下度は比例関係にあるため,氷点の温度を知ることにより浸透圧を求めることができる(実測値).またNa,グルコース,尿素窒素により下記の式にて浸透圧の予測値(計算値)を求めることができる.血清浸透圧の実測値と計算値の差をosmolality gap(OG)といい,通常は10mOsm/kgH2O以下である.OGはエタノール,メタノールなどの血清中の実測不可能な溶質量を表す.

 浸透圧計算値(mOsm/kgH2O)

  =2×Na(mmol/l)+グルコース(mg/dl)/18

  +尿素窒素(mg/dl)/2.8

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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