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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻10号

2011年09月発行

増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典

Ⅱ 血液

プロトロンビン時間〔PT〕

著者: 渡邉眞一郎1

所属機関: 1横浜市立大学附属病院臨床検査部

ページ範囲:P.814 - P.816

文献概要

検査の概要

 プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)は,外因系と共通系凝固機序に異常がないかどうかを検索する基本的な検査である.PTの延長が高度な場合,出血の危険性が高く,その原因を迅速,正確に把握し,早期治療へ結びつけることが極めて重要である.そのため,PTは出血性疾患診断において,血小板数とともにパニック値が設定されている代表的な検査項目である.通常,病態をより正確に把握するため活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time,APTT),フィブリノゲン,FDP(fibrin/fibrinogen degradation product,フィブリン/フィブリノゲン分解産物)を同時に検査する.

 PTを検査するためには,採血時に抗凝固剤として3.13~3.2%(105~109mmol/l)クエン酸ナトリウム液を血液に対して1/10容添加してよく混和する.この割合は多過ぎても少な過ぎてもいけない.採血時にはできる限り組織液の混入を避けることも重要である.検体は室温で遠心し,得た血漿は自動分析装置を用いて凝固時間を測定する.血漿は測定までは室温で扱い,速やかに測定し(APTTを同時に測定する場合は4時間以内),保存は-20℃以下で凍結することに注意する.PT試薬は主成分である組織トロンボプラスチンの種類がさまざまで標準化されていないが,感度指数(international sensitivity index,ISI)が1.0に近いヒト型試薬を使用すべきである.測定結果の表記法も大切である.凝固時間実測値(秒),活性%,プロトロンビン比(prothrombin ratio,PR)は試薬間差や施設間差が大きく,国際標準比(international normalized ratio,INR)はISI≒1.0の試薬を用いれば最も施設間差が少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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