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増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典 Ⅱ 血液
フィブリン/フィブリノゲン分解産物〔FDP〕
著者: 渡邉眞一郎1
所属機関: 1横浜市立大学附属病院臨床検査部
ページ範囲:P.820 - P.822
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フィブリノゲンは,N末端のある中心部分をE領域,二つのC末端部をD領域と呼び,D-E-Dと表せる.凝固が活性化した結果産生されたトロンビンがフィブリノゲンに作用するとフィブリンモノマーとなり,それらが重合してフィブリンポリマーがつくられる.これに第XIII因子が作用してフィブリン分子間架橋(D=D)が形成され,安定化フィブリンとなって止血血栓が完成する.線維素溶解(線溶)は止血機能を果たした血栓を除去して血液の循環を維持する機能である.線溶を起こすプラスミンはフィブリノゲンやフィブリンのD-E間を切断する.フィブリノゲンが分解される一次線溶ではX分画,Y分画,D分画,E分画が産生され,安定化フィブリンが分解される二次線溶ではD=D分画(Dダイマー)とE分画を最小単位としてさまざまな大きさの架橋化フィブリンの分解産物(cross-linked fibrin degradation products,XDP.主にD=D/E複合体1~6個の大きさの分解産物)が産生される.したがって,基礎疾患の違いや症例ごとにFDPの組成は異なる.一般的には血管内で安定化フィブリンが分解されたものが主成分である.
FDP(fibrin/fibrinogen degradation products)はこれらのフィブリン/フィブリノゲン分解産物の総体を免疫学的に測定したものである.わが国ではラテックス免疫比濁法が多く用いられている.FDPは播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)の診断マーカーとして,血小板数やプロトロンビン時間(prothrombin time,PT)とともに必須の検査項目である.しかし,標準物質がなく,測定試薬ごとに使用される抗体の特性も異なるため,方法間差がある.また,FDP測定法には血清FDP測定法と血漿FDP測定法の2種類があり,最近は後者を使用する施設が多い.血清FDPの測定には,抗プラスミン薬および血液凝固促進薬入りのFDP専用採血管を用い,血液凝固塊の上清(血清)を使用する.血漿FDPの測定には3.13~3.2%クエン酸ナトリウム入り凝固検査用採血管を用いて得た血漿を使用する.
フィブリノゲンは,N末端のある中心部分をE領域,二つのC末端部をD領域と呼び,D-E-Dと表せる.凝固が活性化した結果産生されたトロンビンがフィブリノゲンに作用するとフィブリンモノマーとなり,それらが重合してフィブリンポリマーがつくられる.これに第XIII因子が作用してフィブリン分子間架橋(D=D)が形成され,安定化フィブリンとなって止血血栓が完成する.線維素溶解(線溶)は止血機能を果たした血栓を除去して血液の循環を維持する機能である.線溶を起こすプラスミンはフィブリノゲンやフィブリンのD-E間を切断する.フィブリノゲンが分解される一次線溶ではX分画,Y分画,D分画,E分画が産生され,安定化フィブリンが分解される二次線溶ではD=D分画(Dダイマー)とE分画を最小単位としてさまざまな大きさの架橋化フィブリンの分解産物(cross-linked fibrin degradation products,XDP.主にD=D/E複合体1~6個の大きさの分解産物)が産生される.したがって,基礎疾患の違いや症例ごとにFDPの組成は異なる.一般的には血管内で安定化フィブリンが分解されたものが主成分である.
FDP(fibrin/fibrinogen degradation products)はこれらのフィブリン/フィブリノゲン分解産物の総体を免疫学的に測定したものである.わが国ではラテックス免疫比濁法が多く用いられている.FDPは播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)の診断マーカーとして,血小板数やプロトロンビン時間(prothrombin time,PT)とともに必須の検査項目である.しかし,標準物質がなく,測定試薬ごとに使用される抗体の特性も異なるため,方法間差がある.また,FDP測定法には血清FDP測定法と血漿FDP測定法の2種類があり,最近は後者を使用する施設が多い.血清FDPの測定には,抗プラスミン薬および血液凝固促進薬入りのFDP専用採血管を用い,血液凝固塊の上清(血清)を使用する.血漿FDPの測定には3.13~3.2%クエン酸ナトリウム入り凝固検査用採血管を用いて得た血漿を使用する.
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