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増刊号 緊急報告すべき検査結果のすべて―すぐに使えるパニック値事典 Ⅲ 輸血検査
不規則抗体および抗血小板抗体・抗HLA抗体
著者: 曽根伸治1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院輸血部
ページ範囲:P.830 - P.834
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不規則抗体とは,輸血や妊娠で赤血球上の血液型抗原に感作されて産生される抗体である.不規則抗体の検査法は,間接抗グロブリン(Coombs)法や酵素法がある.従来は試験管法で凝集を目視判定していたが,最近はゲルやガラスビーズを充塡したマイクロチューブ(カラム)法やマイクロプレート法の利用が増えている.しかし,これらは必ずしも生体内で起きる副作用反応とは同じではないので,溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患を引き起こす37℃で反応する間接抗グロブリン試験でIgG型免疫抗体を検出するのが望ましい.そこで陽性となれば臨床的意義をもつことになる.
血小板上の血小板特異抗原(human platelet antigen,HPA)の感作で産生される抗体は抗血小板抗体,また,ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen,HLA)やヒト好中球抗原(human neutrophil antigen,HNA)に感作されて抗白血球抗体(抗HLA抗体,抗HNA抗体など)が産生される.これらの抗体は,血小板輸血不応症や新生児血小板減少性紫斑病を引き起こすことがある.抗血小板抗体や抗HLA抗体の検出は,わが国では混合受身赤血球凝集法(mixed passive hemagglutination,MPHA)が,欧米ではMIPA(monoclonal antibody-specific immobilization of platelet antigens)法が広く利用されている.
不規則抗体検査をあらかじめ実施することは,手術などで適合血を準備する時間が確保でき,妊婦では新生児溶血性疾患の予知や治療方針の決定に役立つ.頻回に赤血球輸血する患者には不規則抗体検査を週1回程度,血小板輸血する患者には血小板抗体・HLA抗体検査を月1回程度行うことが望まれる.
不規則抗体とは,輸血や妊娠で赤血球上の血液型抗原に感作されて産生される抗体である.不規則抗体の検査法は,間接抗グロブリン(Coombs)法や酵素法がある.従来は試験管法で凝集を目視判定していたが,最近はゲルやガラスビーズを充塡したマイクロチューブ(カラム)法やマイクロプレート法の利用が増えている.しかし,これらは必ずしも生体内で起きる副作用反応とは同じではないので,溶血性輸血副作用や新生児溶血性疾患を引き起こす37℃で反応する間接抗グロブリン試験でIgG型免疫抗体を検出するのが望ましい.そこで陽性となれば臨床的意義をもつことになる.
血小板上の血小板特異抗原(human platelet antigen,HPA)の感作で産生される抗体は抗血小板抗体,また,ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen,HLA)やヒト好中球抗原(human neutrophil antigen,HNA)に感作されて抗白血球抗体(抗HLA抗体,抗HNA抗体など)が産生される.これらの抗体は,血小板輸血不応症や新生児血小板減少性紫斑病を引き起こすことがある.抗血小板抗体や抗HLA抗体の検出は,わが国では混合受身赤血球凝集法(mixed passive hemagglutination,MPHA)が,欧米ではMIPA(monoclonal antibody-specific immobilization of platelet antigens)法が広く利用されている.
不規則抗体検査をあらかじめ実施することは,手術などで適合血を準備する時間が確保でき,妊婦では新生児溶血性疾患の予知や治療方針の決定に役立つ.頻回に赤血球輸血する患者には不規則抗体検査を週1回程度,血小板輸血する患者には血小板抗体・HLA抗体検査を月1回程度行うことが望まれる.
参考文献
1) 大久保康人:血液型と輸血検査,第2版.医歯薬出版,pp1-3,1997
2) 稲葉頌一,佐川公矯(監修):血液型と抗体.輸血検査の実際,1~7.日本臨床衛生検査技師会,2002
3) 月本一郎:交換輸血,Medical Technology 22:649-652,1994
4) 石田萌子:自己抗体と輸血.検査と技術 25:113-119,1997
5) 菅野直子,小幡隆,小野崎文子,他:カラム凝集法による赤血球凝集反応―試験管法,ビーズ法,ゲル法の比較.医学検査 49:951-955,2000
6) 認定輸血検査技師制度協議会カリキュラム委員会(編):輸血検査でみられる異常反応とその対応.スタンダード輸血検査テキスト.医歯薬出版,pp119-124,1999
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