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Laboratory Practice 〈遺伝子〉
細胞診検体を用いた遺伝子検査のすすめ―細胞検査士のnew horizon
著者: 池田聡1
所属機関: 1総合病院土浦協同病院病理部
ページ範囲:P.1016 - P.1020
文献購入ページに移動通常,細胞診検査というと染色された標本をみて細胞判定を行い,推定病変を報告すれば終了である.癌細胞だらけの標本は呼吸器や胸水の細胞診ではしばしばみられるが,これがどこの原発の癌か推定するためセルブロックを作製するなどして免疫染色などを用いて追加検査することが一部の検体で行われるだけで,多くの陽性検体は標本作製後にはそのまま廃棄されることが一般的である.進行癌の患者では,臨床症状,画像,腫瘍マーカーなどからその推定は既についていることも多く,診断を確定する意味の細胞診検査であり,その場合の細胞検査としては今までこれで十分であった.
しかし実際には,癌であれば組織型や分化度よりもどうすればよくなる(延命できる)癌なのかのほうが,患者にとってより重要な情報である.現在病理検査では治療効果予測や治療法選択に関する検査がどんどん実用化されてきている.この棄てられてしまうせっかくとられてきた細胞集団の中には,これら患者が本当に欲しい情報がたくさん含まれている.当病理部も今までは悪性細胞の検体を廃棄していたが,あるとき細胞診で余った細胞を利用して治療法選択に関するこれらの情報を提供することができれば患者にとってより役に立つことができると思い当たった.そして,細胞診断に従事するわれわれは検鏡により癌を検出しているが,形態からわかる情報を報告するだけではなく,提出された検体からわかる限りのあらゆる情報を臨床に提供することが本分ではないかと考えた.
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