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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻12号

2011年11月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

妊娠高血圧症候群

著者: 梁善光1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター産婦人科

ページ範囲:P.1089 - P.1095

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はじめに

 妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension,PIH)は,妊娠中に発症する代表的な疾患群である.症候としては高血圧が主体であり,これに蛋白尿を呈する腎機能障害と全身性の浮腫が合併する.古くは妊娠中毒症(toxemia of pregnancy)と呼ばれており,なんらかの毒性物質がその発症に関連すると考えられていたが,その病態が少しずつ明らかになり,その本体は血管内皮障害による血管攣縮と著しい凝固亢進状態が原因となって引き起こされた高血圧と理解されるようになった.これに伴い,国際的にも取り残された感のある従来の名称は,2005年に現在のPIHと変更されている1)

 本稿では,PIHの臨床経過と対応させながら臨床検査値を具体的に提示して,その病態をわかりやすく解説する.

参考文献

1) 日本産科婦人科学会周産期委員会:妊娠高血圧症候群の定義・分類.日産婦誌 56:12-32,2004
2) Duley L : The global impact of pre-eclampsia and eclampsia. Semin Perinatol 33:130-137,2009
3) 岡井崇,綾部琢哉(編):標準産科婦人科学 第4版.医学書院,p341,2011
4) Redman CW, Sacks GP, Sargent IL : Preeclampsia : an excessive maternal inflammatory response to pregnancy. Am J Obstet Gynecol 180:499-506,1999
5) Steegers EA, von Dadelszen P, Duvekot JJ, et al : Pre-eclampsia, Lancet2010 Aug 21;376(9741):631-644.Epub 2010
6) 日本産科婦人科学会周産期委員会:妊娠中毒症について.日産婦誌 36:9-11,1984
7) 日本産科婦人科学会周産期委員会:妊娠中毒症の病型分類の改定について.日産婦誌 49:21-22,1997
8) 日本妊娠高血圧学会(編):妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドライン2009.メジカルビュー社,pp23-24,2009
9) 日本超音波医学会 平成14・15年度用語・診断基準委員会:超音波胎児計測の標準化と日本人の基準値.超音波医 30:415-441,2003
10) 宮原正:厚生省特定疾患「進行性腎障害」調査研究班昭和63年研究業績 糸球体疾患に於ける妊娠・出産の影響.厚生省,pp253-259,1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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