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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻13号

2011年12月発行

文献概要

技術講座 病理

コイロサイトーシスの概念・病態と細胞像・組織像

著者: 加藤智美1 安田政実1

所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター病理診断科

ページ範囲:P.1145 - P.1150

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新しい知見

コイロサイトーシスの機序・病的意義・転帰などが詳細に解明され,すなわち,子宮頸部病変のヒトパピローマウイルス(human papilloma virus,HPV)感染病因論がより明らかにされてきたことに強くかかわって,わが国でも細胞診の現場ではベセスダシステムが急速に普及し,ほぼ完全に定着した.この流れのなかでも,扁平上皮癌の前駆/前癌病変の概念・gradingに本質的な変化は生じていないが,「前面に置かれる名称」には新たな動きが生まれてきている.これまで日常的には多くの場合,異形成,CINの順で推定病変名(細胞診)および確定診断名(組織診)が用いられてきた.しかしながら,WHO2003分類がCINを前面に置いてからは,CINがやや優勢に転じてきたと思われる.そして,細胞診は言うに及ばず,SILがこの2者に取って代わられる傾向が組織診でも見え始めている(既に新刊の成書はSILを代表項目に挙げている).扁平上皮内病変がHPVの病因性をベースに2階層化したことで,今後は組織診においても,HSIL(CIN3/severe dysplasia)といった診断名がより一般化してくることもありうる.

参考文献

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6) 安田政実,加藤智美,堀慎一:コイロサイトーシス.病理形態学キーワード女性生殖器.病理と臨床 28(増刊):250-251,2010
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8) 本山悌一:ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)と子宮頸癌 検査技術 組織診.臨床検査 51:837-841,2007
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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