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技術講座 病理
コイロサイトーシスの概念・病態と細胞像・組織像
著者: 加藤智美1 安田政実1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター病理診断科
ページ範囲:P.1145 - P.1150
文献購入ページに移動コイロサイトーシスの機序・病的意義・転帰などが詳細に解明され,すなわち,子宮頸部病変のヒトパピローマウイルス(human papilloma virus,HPV)感染病因論がより明らかにされてきたことに強くかかわって,わが国でも細胞診の現場ではベセスダシステムが急速に普及し,ほぼ完全に定着した.この流れのなかでも,扁平上皮癌の前駆/前癌病変の概念・gradingに本質的な変化は生じていないが,「前面に置かれる名称」には新たな動きが生まれてきている.これまで日常的には多くの場合,異形成,CINの順で推定病変名(細胞診)および確定診断名(組織診)が用いられてきた.しかしながら,WHO2003分類がCINを前面に置いてからは,CINがやや優勢に転じてきたと思われる.そして,細胞診は言うに及ばず,SILがこの2者に取って代わられる傾向が組織診でも見え始めている(既に新刊の成書はSILを代表項目に挙げている).扁平上皮内病変がHPVの病因性をベースに2階層化したことで,今後は組織診においても,HSIL(CIN3/severe dysplasia)といった診断名がより一般化してくることもありうる.
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