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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻3号

2011年03月発行

文献概要

技術講座 生理

卵円孔開存の診断法

著者: 神野雅史1

所属機関: 1東京都済生会中央病院臨床検査科心機能検査室

ページ範囲:P.155 - P.159

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新しい知見

卵円孔開存(patent foramen ovale,PFO)はほとんどの場合出生とともに閉鎖するが,なかには器質的な閉鎖をきたさずにそのまま残る例も存在する.卵円孔が開存していると,一次的な右房圧の上昇により右左シャントを起こし,静脈系で形成された血栓が,右左シャントを介して動脈系へと流入することが考えられる.動脈系へ流入した血栓は脳,冠動脈,腎臓といった主要臓器への塞栓を生じ重篤な症状をきたすことがある.この機序により生じた脳梗塞を奇異性脳塞栓症(paradoxical brain embolism)と呼ぶ.この診断のためにはPFOと右左シャントの証明が必要であり,本稿ではPFOの診断法について概説する.

参考文献

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2) 矢坂正弘:卵円孔開存と心房中隔瘤の診断法.心エコー 8:498-505,2007
3) 室生卓:卵円孔はあいているか,その意味は.心エコー 10:954-959,2009
4) Homma S, Sacco RL:Patent foramen ovale and stroke. Circulation 112:1063-1072,2005
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7) 矢坂正弘:卵円孔開存と心房中隔瘤.竹中克(編):症状と所見から考える心・血管エコー.中山書店,pp290-294,2008
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9) Van Camp G, Cosyns B, VandenBossche JL:Non-smoke spontaneous contrast in left atrium intensified by respiratory manoeuvre:a new transesophageal echocardiographic observation. Br Heart J 72:446-451,1994
10) 河村朗夫:卵円孔開存と奇異性塞栓症.CLINICIAN 55:236-244,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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