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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻3号

2011年03月発行

文献概要

技術講座 生化学

血清蛋白分画とデータの判読

著者: 藤田清貴1

所属機関: 1千葉科学大学大学院危機管理学研究科

ページ範囲:P.161 - P.167

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新しい知見

自己免疫性膵炎(硬化性膵炎)では,fast-γ位に移動度をもつIgG4が増加するため,血清蛋白分画でβ-γブリッジングが認められるので診断に有用である.IgGには,IgG1からIgG4まで四つのサブクラスが存在するが,IgG4は量的に最も少なく,健常者では総IgGの数%にすぎない.本疾患では,90%以上の例で血清IgG4の上昇を認め,その平均値は600~700mg/dl(基準値:135mg/dl以下)であるという.しかも,膵癌,慢性膵炎,原発性硬化性胆管炎など関連疾患ではほとんど上昇を認めないことから,本疾患に特異的であると考えられている.

参考文献

1) 芝紀代子:電気浸透現象のないセ・ア膜電気泳動法による血清タンパク分画定量法の標準操作法,日本電気泳動学会(編):最新電気泳動実験法.医歯薬出版,pp23-31,2000
2) 宮崎京子,米山正芳,高橋美穂,他:全自動電気泳動装置(常光CTE8000)による臨床検査タンパク性能評価.生物物理化学 51:113-117,2007
3) Hamano H, Kawa S, Horiuchi A, et al:High serum IgG4 concentrations in patients with sclerosing pancreatitis. N Engl J Med 344:732-738,2001
4) 川茂幸:自己免疫性膵炎とIgG4.生物物理化学 53:52,2009
5) 藤田清貴:臨床検査で遭遇する異常蛋白質―基礎から発見・解析法まで.医歯薬出版,pp138-151,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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