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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻4号

2011年04月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

ヘパリン療法時のAPTT値が施設などによって大きく異なるのはなぜですか

著者: 山﨑哲

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学病院臨床検査部

ページ範囲:P.321 - P.323

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はじめに

 活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time,APTT)は,プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)とともに最も一般的に行われている凝固検査である.その検査目的は,内因系凝固機能のスクリーニングや未分画ヘパリン療法のモニタリングが中心となっていたが,近年では,ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant,LA)や凝固因子に対するインヒビターなど,さまざまな凝固異常症が対象となるため,その検査目的は多様化している.

 APTTについても,その標準化が国内外を問わず以前より検討されてきたが,いまだ標準化には至っていない1,2).日本検査血液学会の血栓止血検査標準化小委員会においてAPTT標準化に向けた検討に着手する方針となったが,基礎的検討をもとに方向性が検討されている段階にある.

参考文献

1) 香川和彦,福武勝幸:プロトロンビン時間(PT)と活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定の現状と標準化に向けての課題.臨床病理 47:431-437,1999
2) 鈴木節子,島津千里,安室洋子,他:PT,APTTの標準化の現状と将来.日本検査血液学会雑誌 3:13-21,2002
3) 奥田昌宏,菊川紀弘,上村八尋:合成リン脂質を用いた新しいAPTT試薬の開発.日本検査血液学会雑誌 3:124-131,2001
4) 鈴木典子,山﨑哲,井本清美,他:合成リン脂質を用いたAPTT試薬の評価.日本検査血液学会雑誌 4:136-141,2003
5) Marlar RA, Cook J, Johnston M, et al:One-stage prothrombin time (PT) test and activated partial thromboplastin time (APTT) test;Approved guideline-second edition. CLSI,2008
6) 平成20年度 第42回臨床検査精度管理調査結果報告書.日本医師会,2008
7) Surveys 2008, CGL-C Limited Coaguration. Participant Summary Report. College of American Pathologists,2008
8) 山﨑哲,鈴木典子,後藤宏実,他:APTTの現状と標準化に向けた課題.生物試料分析 32:365-370,2009
9) 山﨑哲,鈴木典子,後藤宏実,他:APTTの標準化~凝固因子欠乏と抗リン脂質抗体の評価;現状の整理.日本臨床検査自動化学会会誌 35:197-200,2010
10) Hirsh J, Fuster V:Guide to anticoagulant therapy. Part 1:Heparin. Circulation 89:1449-1468,1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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