文献詳細
文献概要
病気のはなし
タンジール病
著者: 伊藤公美恵13 吉田博23
所属機関: 1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部 2東京慈恵会医科大学附属柏病院中央検査部 3東京慈恵会医科大学大学院代謝栄養内科学
ページ範囲:P.338 - P.342
文献購入ページに移動タンジール病(Tangier disease,TD)は,血清HDLコレステロール(high-density lipoprotein cholesterol,HDL-C)の欠損あるいは著明な低下を引き起こす常染色体劣性遺伝の疾患である.1961年における最初の報告の後,長い間その原因は不明であったが,ようやく1999年に,TDの原因がATP-binding cassette transporter 1(ABCA1)の遺伝子変異によることが解明された.TDは全世界でも60例ほどと極めて稀な疾患であり,わが国での報告も数例のみである.しかし,ABCA1の機能を解明することでHDL代謝機序の全貌を明らかにできる可能性があることと,動脈硬化抑制への新たな治療戦略が期待できることから積極的に研究が進められている.
参考文献
掲載誌情報