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雑誌文献

検査と技術39巻5号

2011年05月発行

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トピックス

日本動脈硬化学会のLDLコレステロールに関する見解

著者: 芳野原1

所属機関: 1東邦大学医学部内科学講座(大森)糖尿病代謝内分泌科

ページ範囲:P.393 - P.394

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■2007年の動脈硬化疾患予防ガイドライン設定の主旨

 高LDL-C(low-density lipoprotein cholesterol)血症が冠動脈疾患の最も重要なリスクファクターの一つであることは広く認められている.一方,高LDL-C血症に対する積極的な薬物療法が冠動脈疾患の一次予防,二次予防に十分な効果を示すことも明らかとなっている.日本動脈硬化学会では従来,高脂血症の診断基準として,総コレステロール(total cholesterol,TC),LDL-C,HDL-C(high-density lipoprotein cholesterol),トリグリセライド(triglyceride,TG)用いていた.そこで,2007年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(以下,ガイドライン)ではこれを改訂し,脂質異常症の診断基準としてLDL-C,HDL-C,TGを採用し,管理目標もこの3項目で行うことを提言した.まず,この脂質異常症の診断基準においてTCを採用しなかった理由については,第一にTC値は基本的にはLDL-C,HDL-C,VLDL-C(very low-density lipoprotein cholesterol)の総和であること.つまり,ここにはLDL,レムナント,VLDL,リポ蛋白(a)〔lipoprotein(a),Lp(a)〕などの動脈硬化惹起性リポ蛋白と,動脈硬化進展を抑制するリポ蛋白であるHDLが加わっており,TC値よりもLDL-C値を動脈硬化の危険因子とするほうが,科学的な観点からはより適切であると考えられたためである.

参考文献

1) Friedewald WT, Levy RL, Fredrickson DS : Estimation of the concentration of low-density lipoprotein cholesterol in plasma, without preparative ultracentrifuge. Clin Chem 18:499-502,1972
2) Nakamura M, Koyama I, Iso H, et al : Measurement performance of reagent Manufacturers by centers for disease control and prevention/cholesterol reference method laboratory network lipid standardization specified for Metabolic syndrome-focused health care checkup program in Japan. J Atheroscler Thromb 16:756-763,2009
3) Department of Health Education and Welfare : Manual of Laboratory Operations. Lipid Research Clinics Program Vol.1. DHEW publication NIH, Washington DC,pp75-628,1974
4) Miller WG, Myers GL, Sakurabayashi I, et al : Seven direct methods for measuring HDL and LDL cholesterol compared to ultracentrifugation reference measurement procedures. Clin Chem 56:977-986,2010(Epub2010)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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