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日本動脈硬化学会のLDLコレステロールに関する見解
著者: 芳野原1
所属機関: 1東邦大学医学部内科学講座(大森)糖尿病代謝内分泌科
ページ範囲:P.393 - P.394
文献購入ページに移動高LDL-C(low-density lipoprotein cholesterol)血症が冠動脈疾患の最も重要なリスクファクターの一つであることは広く認められている.一方,高LDL-C血症に対する積極的な薬物療法が冠動脈疾患の一次予防,二次予防に十分な効果を示すことも明らかとなっている.日本動脈硬化学会では従来,高脂血症の診断基準として,総コレステロール(total cholesterol,TC),LDL-C,HDL-C(high-density lipoprotein cholesterol),トリグリセライド(triglyceride,TG)用いていた.そこで,2007年の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(以下,ガイドライン)ではこれを改訂し,脂質異常症の診断基準としてLDL-C,HDL-C,TGを採用し,管理目標もこの3項目で行うことを提言した.まず,この脂質異常症の診断基準においてTCを採用しなかった理由については,第一にTC値は基本的にはLDL-C,HDL-C,VLDL-C(very low-density lipoprotein cholesterol)の総和であること.つまり,ここにはLDL,レムナント,VLDL,リポ蛋白(a)〔lipoprotein(a),Lp(a)〕などの動脈硬化惹起性リポ蛋白と,動脈硬化進展を抑制するリポ蛋白であるHDLが加わっており,TC値よりもLDL-C値を動脈硬化の危険因子とするほうが,科学的な観点からはより適切であると考えられたためである.
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