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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻6号

2011年06月発行

文献概要

病気のはなし

輸血関連急性肺障害

著者: 半田誠1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法センター

ページ範囲:P.410 - P.413

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サマリー

輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury,TRALI)は,輸血に伴い発症する急性肺障害(acute lung injury,ALI)で,輸血製剤中に含まれるドナー由来の抗白血球同種抗体や保存中に生じる血球由来物質によって活性化された白血球が,肺微小循環に集積し血管壁を傷害することで血管透過性が亢進した結果生じる肺水腫によりもたらされる呼吸不全をいう.診断は臨床所見で行い,循環過負荷などの心原性の低酸素血症との鑑別が重要である.症状は通常可逆性であるが,輸血に伴う死亡原因のトップとされている.抗白血球抗体が陽性となるリスクの高い経産婦ドナーの排除はTRALIの予防対策として有効であることが証明されている.

参考文献

1) Popovsky MA, Moore SB:Diagnostic and pathogenetic considerations in transfusion-related acute lung injury. Transfusion 25:573-5777,1985
2) FDA annual summary for fiscal year 2009:Fatalities reported to FDA following blood collection and transfusion. FDA,2009
3) 岡崎仁:輸血関連急性肺障害(TRALI)の病態解明と対策.医学のあゆみ 235:37-42,2010
4) 日本輸血・細胞治療学会ヘモビジランス委員会:重症アレルギーの診断基準(http://www.jstmct.or,jp/jstmct/Document/Guideline/Ret15-4.pdf)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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