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2型糖尿病での高感度トロポニンT測定の有用性
著者: 石井潤一1
所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部臨床検査科
ページ範囲:P.451 - P.453
文献購入ページに移動わが国における2型糖尿病患者は年々増加し,2007年度(平成19年度)の国民健康・栄養調査によると850万人と報告されている.しかも,急性心筋梗塞,慢性心不全や脳卒中などの脳心血管イベント発症のリスクが高いため,医療経済の観点からは,糖尿病患者の脳心血管イベント発症のリスクを正確に層別化し,効率的に検査や治療を行うことが望まれる.
バイオマーカーは画像診断と異なり,専門的な技術がなくても病態を客観的に評価できるという利点がある.ヘモグロビンA1cは最も用いられている血糖コントロールの指標である.しかし,糖尿病患者における脳心血管イベント発症のリスク評価にはヘモグロビンA1cのみでは不十分である.そのため,左室負荷の指標である脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide,BNP)やN末端プロBNP,腎機能(血管障害)の指標であるシスタチンCや尿アルブミン排泄量,慢性炎症の指標である高感度C反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)などが併用されている.また,最近臨床の場に登場した高感度トロポニン測定は潜在性心筋傷害という新しい視点で脳心血管イベント発症のリスクを評価できることが期待される.
本稿では,最初に高感度トロポニンの基礎知識について概説し,次に当施設の成績を中心に,2型糖尿病患者での高感度トロポニンT測定の有用性について述べる.
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