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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻7号

2011年07月発行

文献概要

技術講座 一般

尿試験紙法における異常反応への対応

著者: 堀田真希1

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院医療技術部検査部門

ページ範囲:P.517 - P.521

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新しい知見

尿試験紙法における異常反応(偽反応)は大部分が投与薬剤の尿中代謝物によるものである.尿試験紙法は,ほとんどの項目が化学的な反応原理を用いているため,薬剤の代謝物が検査対象物質と類似の構造や反応基がある場合,これらと容易に反応する.また尿試験紙の呈色部分に尿の色がかぶることによっても偽陽性になることがある.尿試験紙の反応色が陽性と異なる場合(異常発色)は発見しやすいが,陽性色と同じ呈色の場合は発見が困難である.発見には尿沈渣や尿の色調,他の項目との乖離や偽反応を起こす薬剤を投与する診療科名などにより推測できるが,すべての偽反応を検出することは非常に難しいことである.偽反応により誤った成績から診断や治療が行われることを防ぐため「尿試験紙法には偽反応があるもの」ということを臨床側に理解してもらう必要がある.

参考文献

1) 伊藤機一,高橋勝幸(監),菊池春人,矢内充,油野友二(編):カラー図説 一般検査ポケットマニュアル,羊土社,2009
2) JCCLS尿検査標準化委員会/尿試験紙検討委員会:「尿試験紙検査法」JCCLS提案指針(追補版)尿蛋白,尿ブドウ糖,尿潜血試験部分表示の統一化.日臨検標準会誌 19:53-65,2004
3) 今井宣子:尿試験紙法における異常発色,着色.医歯薬出版(編):Medical Technology別冊 カラーアトラス尿検査,医歯薬出版,pp27-29,1995
4) 原美津夫,田中和雄,高橋勝幸,他:尿定性試験紙の服用薬剤による偽反応の検討 蛋白,ケトン体を中心に.医学検査 55:509,2006
5) 小笠原弘子,林恭子,遠井初子,他:プシラミンに起因する尿中ケトン体の偽陽性について,検査と技術 30:1140-1143,2002
6) 井野上章,辻厚子,嶋田俊秀,他:尿定性検査に及ぼす薬剤の影響―ケトン体の偽陽性反応を中心に.医療と検査機器・試薬 30:183-191,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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