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N-ホモシステイン化アポリポ蛋白A-Iの測定とその臨床的意義
著者: 戸塚実1
所属機関: 1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科先端分析検査学
ページ範囲:P.559 - P.560
文献購入ページに移動ホモシステインはメチオニン代謝の中間産物で,アミノ酸の一種であるが,蛋白質を構成するアミノ酸ではない.臨床的にはシスタチオニンβ-シンターゼ(cystathionine β synthase,CBS)欠損を原因とする著しい高ホモシステイン血症が認められる患者で,動脈硬化のリスク増大が報告されるなど,疾患とのかかわりが注目されている1).その作用機序は必ずしも明らかになっていないが,ホモシステインによる血管内皮細胞障害,血管平滑筋細胞増殖,血栓傾向などがその要因であると考えられている.
ホモシステインはシステイン同様にSH基をもっているため,血中では単体のほか,ホモダイマー,システインとのヘテロダイマーとして存在する(図1).そのほか,一部のホモシステインは血漿蛋白のシステイン残基とS-S結合して,S-ホモシステイン化蛋白を形成することが知られている2).これに加えて,近年,ホモシステインが血漿蛋白のリジン残基のε-アミノ基にアミド結合しているN-ホモシステイン化蛋白の存在が明らかにされ3),蛋白に新たなSH基を付加することによって,その機能に変化を及ぼすことが示されている.
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