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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻8号

2011年08月発行

文献概要

技術講座 一般

尿蛋白試験紙とBence Jones蛋白

著者: 菊池春人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.588 - P.592

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新しい知見

血清遊離軽鎖定量:H鎖(heavy chain)と結合しているL鎖(light chain)は認識せず,遊離のL鎖だけを認識する抗体を用いて,血清中の遊離L鎖κ,遊離L鎖λをそれぞれ免疫定量する方法である.骨髄腫になると遊離κとλの存在比率(κ/λ比)が異常となる.この比率,定量値によって通常の方法では確認できないBence Jones蛋白も把握することができる.国際的な骨髄腫寛解判定基準の厳しい完全寛解(stringent complete remission)の項目としてκ/λ比の正常化が含まれている.また,MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)の予後推定やALアミロイドーシスの診断などにも有用であるとされている1).今のところわが国では健康保険の適用がないが,申請中であり近く保険収載される可能性もある.

参考文献

1) 清水一之:血清遊離軽鎖定量の臨床的意義.Labo Clino Pract 25:89-96,2007
2) 伊藤機一,加島準子:尿定性・半定量プラクティス 蛋白 基礎.臨床病理 特集 100:35-42,1995
3) 菊池春人:“臨床的”検査データのとらえ方 症例編,解答・解説編.medical technology 36:953-956,2008
4) 日本腎臓学会(編):腎機能(GFR)・尿蛋白測定ガイドライン.東京医学社,p44,2003
5) Luke KE, Michaels AA : Sensitivity of protein determination methods to urinary globulins and mucoproteins. Clin Chem 32:1191,1986

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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