文献詳細
文献概要
ワンポイントアドバイス
一歩進んだ動脈硬化検査―ABI検査にTBI検査を追加すると
著者: 船水康陽1
所属機関: 1財団法人鳴海研究所清明会鳴海病院臨床検査部
ページ範囲:P.600 - P.601
文献購入ページに移動はじめに
近年,生活習慣の欧米化と人口の高齢化により動脈硬化性疾患が増加しており“血管病の時代”を迎えた.2007年に末梢動脈疾患(peripheral arterial disease,PAD)に関する国際的に標準化された診断と治療のガイドラインであるTrans-Atlantic Inter-Society ConsensusII(TASCII)が発表された.そのなかで,足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index,ABI)および足趾上腕血圧比(toe brachial pressure index,TBI)の有用性について述べられている(表,図1).ABIはPADのスクリーニングとしてのプライマリ診断をはじめ,術後の評価,経過観察などに広く活用されているが,罹患期間の長い糖尿病患者や透析患者などのようなメンケベルク型動脈硬化症に伴う中膜石灰化が強い例では,カフ圧を上げてもマンシェットによる動脈の圧縮が不十分となるため偽正常化を示すことがある.この原因である動脈中膜の石灰化は足趾までは及ぶことが少ないため,このような患者においてはABIよりTBIのほうが末梢の血流障害をより正確に反映する.
近年,生活習慣の欧米化と人口の高齢化により動脈硬化性疾患が増加しており“血管病の時代”を迎えた.2007年に末梢動脈疾患(peripheral arterial disease,PAD)に関する国際的に標準化された診断と治療のガイドラインであるTrans-Atlantic Inter-Society ConsensusII(TASCII)が発表された.そのなかで,足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index,ABI)および足趾上腕血圧比(toe brachial pressure index,TBI)の有用性について述べられている(表,図1).ABIはPADのスクリーニングとしてのプライマリ診断をはじめ,術後の評価,経過観察などに広く活用されているが,罹患期間の長い糖尿病患者や透析患者などのようなメンケベルク型動脈硬化症に伴う中膜石灰化が強い例では,カフ圧を上げてもマンシェットによる動脈の圧縮が不十分となるため偽正常化を示すことがある.この原因である動脈中膜の石灰化は足趾までは及ぶことが少ないため,このような患者においてはABIよりTBIのほうが末梢の血流障害をより正確に反映する.
参考文献
1) TSACII Working Group(編),日本脈管学会(訳):下肢閉塞性動脈硬化症の診断・治療指針II.メディカルトリビューン,2007
掲載誌情報