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文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻9号

2011年09月発行

文献概要

技術講座 生理

肺拡散能検査の注意点

著者: 大久保輝男1

所属機関: 1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部

ページ範囲:P.653 - P.658

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新しい知見

一酸化炭素(CO)を指標とする肺拡散能力(DLCO)は,元来肺胞毛細管膜でのガス拡散能を測定することを目的とした測定法であった.しかし,実際には肺毛細管血量や血漿から赤血球へのガスの移行速度,さらには換気血流比の不均等などによって影響を受けている.現在では,肺拡散能力は一酸化炭素が肺胞から肺毛細血管中のヘモグロビンに結合するまでの拡散輸送の容易さを測定していると考えられており,ヨーロッパではトランスファーファクター(TLCO)と呼ばれている.肺拡散能力は肺疾患の診断や気管支喘息と肺気腫の鑑別,肺胞出血と肺水腫の鑑別,間質性肺炎の診断や経過観察などに有用であり,臨床的に重要な検査法である.

参考文献

1) 日本呼吸器学会肺生理専門委員会(編):呼吸機能検査ガイドライン―スパイロメトリー,フローボリューム曲線,肺拡散能力.日本呼吸器学会,2004
2) American Thoracic Society : single-breath carbon monoxide diffusing capacity (Transfer factor). Recommendations for a standard technique-1995 update. Am J Respir Crit Care Med 152:2185-2198,1995
3) 日本臨床衛生検査技師会(編):呼吸機能検査の実際.日本臨床衛生検査技師会,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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