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オピニオン
未曾有の大震災を乗り越えて
著者: 櫻林郁之介1
所属機関: 1さいたま記念病院
ページ範囲:P.665 - P.665
文献購入ページに移動 1,100年前に起きたと想定されている規模と同じ未曾有の東日本大震災からまだそれほど経過していないのに,かなり時間が経ってしまったように錯覚をしているのは,毎日毎日,マスメディアから伝えられる地震と津波と原発事故の膨大な情報に圧倒されてしまったためかもしれません.現地は被災者の方々をはじめ,国や地方自治体,各種援助団体,関係企業,個人などのおかげで徐々に復興の兆しが見え始めていますが,日本全体が元に戻るのは何年先かわかりません.しかし,日本人特有ともいうべき忍耐強さと意欲がある限り必ず復興するであろうと国民誰もが思っているのではないでしょうか.その背景には,第二次世界大戦で国土が焦土と化し,何百万もの国民の命が奪われても,驚異的なスピードで復興を遂げ,かつ世界の先進国の仲間入りを果たした日本の過去の実績があるからでしょう.それにつけても東北の方々の長期にわたる不自由な避難生活を強いられ,肉親や知人を亡くし,自宅や会社が壊滅的な打撃を受けても,それにじっと耐えて,かつそこから立ち上がりつつある姿には頭が下がります.何がそこまで被災地の方々を突き動かしているのでしょうか.東北の方々のお気持ちはわかりませんが,愛する風光明媚な郷里を一日も早く再建して元通りの住み慣れた町や村に仕上げたいという願望が強いのもその一つではないかと思います.そこには温かなヒトとヒトとの交流があり,他人と家族との境がない濃厚な人間関係があるからではないでしょうか.
医療についても,医師をはじめ他の医療従事者がボランティアで各地から被災地に入り活動を続けておられます.しかし,医療機関が壊滅的な被害を受けているところも多く,正常な形で医療を展開できないため,限られた範囲にとどまってしまうのはやむを得ない現状があるようです.なんとか機能している病院は物資の不足にもめげず,全国からの援助機材を使いながら,少ないスタッフでたくさんの患者さんを診ておられます.
医療についても,医師をはじめ他の医療従事者がボランティアで各地から被災地に入り活動を続けておられます.しかし,医療機関が壊滅的な被害を受けているところも多く,正常な形で医療を展開できないため,限られた範囲にとどまってしまうのはやむを得ない現状があるようです.なんとか機能している病院は物資の不足にもめげず,全国からの援助機材を使いながら,少ないスタッフでたくさんの患者さんを診ておられます.
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