icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術39巻9号

2011年09月発行

文献概要

トピックス

臨床検査値学生用共通基準範囲の設定

著者: 康東天1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野

ページ範囲:P.708 - P.710

文献購入ページに移動
■臨床検査値を用いた教育を取り巻く状況

 臨床検査値の基準範囲は各施設が独自に基準個体(健常人)の検体をその施設の検査方法で測定して設定し,臨床の場に提供するのが通常である.ほとんどの場合,施設間で異なった基準範囲が設定されており,医療の効率化や適正化の障害となっているのは周知のことである.

 診療の場のみならず学生教育においても,その病院の患者を対象に臨床実習を受けるのであるから,その施設の基準範囲がそのまま用いられざるを得ない.それゆえ,異なった基準範囲をもとに全国の学生は臨床教育受けていることになる.一方で国家試験は全国共通であり,その問題文中に基準範囲の記載を省略してよい検査項目が多数あり,重要でよく利用されるものほど記載を省略してよい検査項目となっている.さらには現在では医学生は学部4年の時点でCBT(computer-based testing)と呼ばれる全国テストの受験を義務付けられている.このように,全国共通の基盤に基づいて行われなくてはならない医学教育が,実はこと臨床検査値に関しては脆弱な基盤のうえに乗っている.検査の標準化を通じて検査値の施設間差をなくし,検査結果を施設間で共有できるよう長年努力してきた臨床検査医学に携わる側は,当然そのことには早くから気付いていた.

参考文献

1) 市原清志:共有基準範囲設定国際プロジェクト.臨床化学 38:416-423,2009
2) JAMT会報.医学検査 59(9月号付録),2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?