icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術4巻1号

1976年01月発行

文献概要

病人と病気と病院

環境汚染と健康

著者: 長崎護1

所属機関: 1東京都衛生局医療福祉部公害保健課

ページ範囲:P.11 - P.14

文献購入ページに移動
 足尾銅山の鉱害事件以来,過去100年の環境汚染の歴史をさかのぼってみると,かつては特定地域に限局されていた環境の汚染は産業の発達,人口の都市集中とともにしだいに広域化し,汚染の内容も複雑多岐となってきた.そして昭和35年ごろを境に,石炭から石油へとエネルギー源の転換が行われるとともに,環境保全対策を顧みなかった高度経済成長政策の推進は,爆発的速度で環境を汚染し,自然を破壊し始めた.こうした急速な汚染の進行は,一方で不幸な健康被害を生み出し,生活環境の保全,自然保護の運動の高まりへとすすんできた.こうした社会の動きの中にあって,その内容は,今なお不十分なものではあるが,環境行政に関する一連の法体系の整備がやっと昭和40年代に行われた.
 昭和42年8月に公害対策基本法が定められ,この中で公害とは,"事業活動その他の人の活動に伴って生ずる,相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下,悪臭によって人の健康または生活環境にかかわる被害が生ずることをいう"と定義された.こうして,環境汚染防止対策の方向づけが行われ,続いて昭和43年6月に大気汚染防止法と騒音規制法が,45年12月には,水質汚濁防止法,海洋汚染防止法,農用地の土壌汚染防止などに関する法律,廃棄物の処理及び清掃に関する法律が定められた.続いて,悪臭防止法が46年6月に,自然環境保全法が47年6月に制定された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?