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検査の昔ばなし
心電計の今昔
著者: 清水三郎1
所属機関: 1財団法人 川越病院
ページ範囲:P.44 - P.45
文献購入ページに移動 今日心電計の普及は誠に目覚ましいものであり,臨床検査の中で,心電図(戦後数年ごろまでは学術専門用語として電気心働図と命名されていた)検査は日常茶飯事のごとく取り扱われているが,昭和5年私が京大医学部に入学したころは,生理学の講義で"電気心働図は不整脈の診断以外には臨床には役立たないものである"と習ったくらい,臨床上重視されていなかった.しかしその後しだいに臨床に応用されるようにはなったが,各棘変化の解釈は,不整脈以外は経験的事実に基づくだけのものであった.戦後心電図変化に対する理論的解釈が可能となるとともに,電子工学の進歩による心電計の発達により,今日の隆盛を見るに至ったのである.
私は昭和9年京大医学部を卒業して,真下俊一教授担当の内科第3講座に入局した.当時日本で心電図検査が活発に行われていたのは,京大第3内科のほか,東大,九大,千葉大のほか一二の大学のみであった.そのころ京大第3内科では,大正15年英国より輸入された,超大型で絃線電流計を応用した心電図描写装置が使用されていた.
私は昭和9年京大医学部を卒業して,真下俊一教授担当の内科第3講座に入局した.当時日本で心電図検査が活発に行われていたのは,京大第3内科のほか,東大,九大,千葉大のほか一二の大学のみであった.そのころ京大第3内科では,大正15年英国より輸入された,超大型で絃線電流計を応用した心電図描写装置が使用されていた.
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