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文献詳細

雑誌文献

検査と技術4巻11号

1976年11月発行

文献概要

技術講座 一般

尿検査・6—アセトン体,血色素

著者: 長岡文1

所属機関: 1東京文化医学技術学校

ページ範囲:P.842 - P.844

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アセトン体
 アセトン体(ケトン体)とはアセト酢酸,アセトン,βハイドロキシ酪酸の3つの総称である.アセトン体は脂肪代謝の中間代謝物で,肝臓で脂肪酸より作られる.すなわち脂肪酸よりアセト酢酸を生じアセト酢酸からβハイドロキシ酪酸及びアセトンとなり,これらは生体のエネルギー源となり代謝が正常に進めば水と炭酸ガスを生じ体外に排泄される.しかしアセトン体が生産過剰になると酸化が進まず血中にアセトン体が増加しそれが尿中に排泄される.体内の糖質の燃焼が盛んであれば脂肪も完全に燃焼されアセトン体は少ししかできないが,糖の補給が少ない場合には糖の代わりに脂肪が燃焼し,この過剰の脂肪の燃焼は不完全となりアセトン体が増加するのである,つまり尿中にアセトン体が現れることは糖質代謝が低下し脂質代謝が亢進していることを意味しており,救急の処置を要するから日常検査としての用意を怠ってはならない.
 このような状態は重症糖尿病,飢餓(絶食あるいは嘔吐が続くような時飢餓状態となる).下痢,消化不良その他糖分解酵素の先天性欠乏症(糖原病)の場合にも起こる.また食餌性,すなわち主としてタンパク質と脂肪から成り,炭水化物をほとんど含んでいないような食餌のみをとっている時にも起こる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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