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文献詳細

雑誌文献

検査と技術4巻6号

1976年06月発行

文献概要

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

抗生物質の作用メカニズム

著者: 田中信男1

所属機関: 1東大・応用微生物研究所

ページ範囲:P.417 - P.420

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 βラクタム系,アミノグリコンド系,マクロライド系,テトラサイクリン系,クロマイ系などの抗生物質やスルフォンアミド剤,ナリジキシ酸,PAS,INHなどの合成抗菌剤は病原菌の発育を阻止するが,宿主であるヒトの細胞に与える障害は少ないので,感染症の化学療法に用いられている.細菌でもヒトの細胞でも,その生命を維持するための基本的機構は同じでも,両者の間には微妙な相違があり,その相違に作用し,選択的な作用を示す.これを選択毒性と称し,化学療法の基礎をなしている.選択毒性は薬剤が細菌内において最初に作用する場,すなわち一次作用点が細菌と動物細胞とで異なることに由来ずる場合が多い,
 細菌でも動物でも,その基本的機溝は同じである.例えば,DNAのヌクレオチド配列によって遺伝情報は決定され,DNAの二重らせん構造は半保存的に複製される.DNAの遺伝情報の解読機構は,RNAポリメラーゼによってDNAを鋳型として,これと相補的なヌクレオチド配列を持つmRNAが合成され,このmRNAを鋳型としてリボゾームでタンパクが合成される.この基本的機構(DNA→RNA→タンパク)はいろいろな生物に共通だが,その細部機構は細菌と動物とでは異なる.この相違点に抗菌剤は作用し,選択毒性を示す.また,細菌に特有な構造である細胞壁ペプチドグリカン合成系に作用し,優れた選択毒性を示すβラクタム系抗生物質などもある(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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