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文献詳細

雑誌文献

検査と技術4巻9号

1976年09月発行

最近の検査技術

エンザイムイムノアッセイ

著者: 宮井潔1

所属機関: 1阪大・中検

ページ範囲:P.686 - P.690

文献概要

 1959年BersonとYalowによって開発されたラジオイムノアッセイ(RIA)は,抗原抗体反応を利用しているため特異性が高く,その標識法としてラジオアイソトープ(RI)を使っているため感度が優れている.更に微量測定にしては精度がよくその応用範囲が広いため,現在ではホルモンをはじめウイルス抗原,腫瘍抗原,酵素,薬剤,生理活性物質など,種々な生体内微量物質の測定に用いられている.ちなみに我が国におけるRIを用いた検体検査数は,昭和49年度(1974)で460万件にも達するという.このようにRI検査が広く普及したことは,臨床医学の進歩に大いに貢献したと言えるが,一方いくつかの間題を残した.その第一は公害問題で,我が国では特に深刻である.更にRIAはRI標識物質が高価である.長期間使用できない,RI測定用の特殊設備・機器,熟練者が必要であるなどの欠点がある.
 そこでRIを使わないイムノアッセイ,すなわちnonisotopic immunoassayが注目されるようになった.エンザイムイムノアッセイenzyme labelled(or linked)immunoassay(enzyme immunoassay)もその一つで,RIの代わりに微量で検出できる酵素を標識するのである.エンザイムイムノアッセイといえば何か目新しい感じはするが,従来からよく知られている抗体に酵素を標識して組織標本で抗原の局在を知る酵素抗体法と発想はよく似ている.1971年Engvall1),Weemen2)らがエンザイムイムノアッセイによる免疫グロブリンや絨毛性ゴナドトロピンの測定を発表して以来いくつかの報告がみられるが,本法は開発されてまだ日も浅く,実際にはいろいろな問題を含んでいる.そこで本稿では本題に入る前にnonisotopic immunoassay開発の現況にふれた後,エンザイムイムノアッセイの原理と問題点及びその将来像について述べることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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