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文献詳細

雑誌文献

検査と技術40巻1号

2012年01月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

日常検査で検出対象としている細菌・真菌

著者: 相原雅典12

所属機関: 1合同会社AIORCOID 2ファルコバイオシステムズ東京研究所・検査課

ページ範囲:P.66 - P.69

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はじめに

 過去においてヒトの感染症の病原体とされた細菌種は,優に1,000種を超すと思われる.しかし,これら既知の病原体のすべてが日常細菌検査の検索対象とされるわけではない.例えば類鼻疽菌のように,その感染が地球上の限られた地域でのみ起きる疾患であれば,流行地での滞在がなければ検査対象とはならないし,仮に流行地での滞在があっても,医師からの情報が検査室に伝えられなければ検索対象とはされない.

 日常検査で検索対象とする条件としては,①保険点数による縛り,②菌の検出頻度,③検出の難易度や検出に要する日数,④季節的条件,⑤感染症新法上の扱い,⑥院内感染対策上の重要性,⑦抗菌薬事前投与の有無,および,⑧疑われる疾患名,などの要素が勘案される.このなかで特に重視される条件は①,②および③であるが,かと言ってあらゆる検体で等しく重視されているわけでもない.したがって,検査を依頼する医師は,検査室が標的としている菌や対象外の菌を理解しておかなければ,検査室からの「既知の病原菌陰性」というレポートを「病原菌はいなかった=細菌感染ではなかった」と取り違える恐れがある.

 本稿では3感染症を例に挙げ,日常業務における検索対象菌種1)(表1),日常の検索対象とはならない病原体(表2)について概説する.

参考文献

1) Murray PR, Baron EJ, Pfaller MA, et al : Manual of clinical Microbiology 7th ed. American Society of Microbiology, Washington DC,pp23-32,1999
2) Ishida T : Etiology of community-acquired pneumonia among adult patients in japan. Jpn J Antibiot 53(Suppl B):3-12,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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