文献詳細
増刊号 この検査データを読めますか?―検査値から病態を探る
Ⅵ 血液・造血器疾患
9 未熟な血液分画が治療効果の早期判定に有用であった2症例《再生不良性貧血》
著者: 石山謙12 望月果奈子13 中尾眞二1
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学(血液・呼吸器内科) 2東京都立大塚病院輸血科(血液内科) 3富山赤十字病院内科
ページ範囲:P.1129 - P.1136
文献概要
1.症例1:71歳の女性
現病歴:2006年,健康診断で血小板数7.8×104/μLと血小板減少を指摘され,10月にN病院を受診.白血球数2,900/μL,ヘモグロビン10.3g/dL,血小板数11.2×104/μLと汎血球減少が認められた.抗血小板抗体陰性,Helicobacter pylori菌陽性であったため,H. Pylori菌の除菌療法が行われたが無効であった.同年12月には血小板数6.7×104/μLに低下したため骨髄穿刺が施行された.骨髄は低形成で染色体異常はなく,形態異常も明らかではなかったため再生不良性貧血(aplastic anemia,AA)と診断された.2007年1月より蛋白同化ステロイドを投与されたが血小板数は3.7×104/μLまで低下,白血球数減少,貧血の進行もみられたため2007年2月に当科入院となった.1月に当科で施行した発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria,PNH)形質をもつ血球(PNH型血球)検査は陽性であった.
入院時現症:身長148cm,体重56kg,体温36.3℃,血圧109/67mmHg,眼球結膜貧血あり.眼瞼結膜黄疸なし.頸部にリンパ節腫脹はない.胸部は呼吸音清,心雑音なし.右季肋部に軽度圧痛がある.腹部は平坦,軟で,圧痛はない.肝臓・脾臓は触知せず,下腿浮腫あり.神経学的に明らかな異常所見はない.
参考文献
掲載誌情報