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Laboratory Practice 〈微生物〉
腸内細菌科のカルバペネム耐性菌
著者: 中村彰宏1 小松方2
所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部 2天理医療大学医療学部臨床検査学科
ページ範囲:P.1260 - P.1265
文献購入ページに移動重症感染症の治療薬として汎用されるカルバペネム系抗菌薬を加水分解するカルバペネマーゼ産生腸内細菌の拡大が世界的に注目されている.カルバペネマーゼは広域βラクタム薬であるカルバペネムや第三世代や第四世代セファロスポリンを加水分解し,本酵素を産生する細菌による感染症は抗菌薬治療に難治化しやすい.カルバペネマーゼの遺伝子のほとんどはプラスミド上にあり,菌種間を越えて伝播する.またカルバペネマーゼの遺伝子はインテグロン構造内に存在し,βラクタム系抗菌薬以外の抗菌薬に耐性化する遺伝子も同時に複数保有していることが多く,多剤耐性化傾向を示す特徴がある.したがって,抗菌薬治療上あるいは医療関連感染対策の面からも特に重要視する必要があり,臨床微生物検査室においてはこれら耐性菌を確実に検出できる方法を備えておく必要がある.
本稿では,現在わが国で確認されている各種カルバペネマーゼの特徴と検査室における検出法について述べる.
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