文献詳細
Laboratory Practice 〈移植医療〉
―移植医療と検査⑫―HLA抗原およびHLA抗体検査の変遷と重要性
著者: 中島文明1
所属機関: 1日本赤十字社中央血液研究所研究開発部
ページ範囲:P.1277 - P.1281
文献概要
古くは,白血球と血清の凝集反応パターン解析から,HLA(human leukocyte antigen)システムの解明がスタートした歴史がある.それは,HLA抗原検査でありHLA抗体検査でもあった.1964年にリンパ球細胞傷害試験(lymphocyte cytotoxicity test,LCT)が発表され,長い間,HLA抗原およびHLA抗体検査はLCT主流で実施されてきた.現在では別の形に進化を遂げ,市販試薬として容易に入手可能な時代となった.HLA抗原は,抗原分子そのものを検出する方法から,遺伝子タイピングでより正確に結果を得られるようになった.抗体検査もリンパ球など生体材料を使用する方法から,培養細胞や遺伝子導入技術を応用した人工的な抗原試薬を用いて検出できるようになった.
本稿では,利便性が実現したHLA検査法とその問題点を見据えながら,移植医療での重要性について述べる.
参考文献
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