icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術40巻11号

2012年10月発行

文献概要

臨床検査のピットフォール

鉄キレート剤投与患者における血清鉄およびUIBC測定への影響

著者: 清宮正徳12 野村文夫12

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部 2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

ページ範囲:P.1297 - P.1299

文献購入ページに移動
はじめに

 再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの骨髄不全症候群においては,難治性貧血治療のための頻回の赤血球輸血が必要になることがある.輸血された赤血球はやがて崩壊し鉄は再利用されるが,生体内では鉄の積極的な排泄ルートがないことから,頻回の輸血により鉄が過剰となり,体内の各臓器に鉄が沈着することによる臓器障害が発生する.鉄キレート剤はこのような体内の過剰な鉄をキレートして体外に排泄し,臓器障害を予防する目的で投与される.近年,これらの薬剤の投与中の患者において血清鉄および不飽和鉄結合能(unsaturated iron binding capacity,UIBC)の測定値が正の影響を受け,体内の鉄動態を正確に反映しない測定値となることが報告された1,2)

参考文献

1) Roberts WL, Smith PT, Martin WJ, et al : Performance characteristics of three serum iron and total iron-binding capacity methods in acute iron overdose. Am J Clin Pathol 5:657-664,1999
2) Ikuta K, Satoshi I, Hiroki T, et al : Interference of deferasirox with assays for serum iron and serum unsaturated iron binding capacity during iron chelating therapy. Clin Chim Acta 412:2261-2266,2011
3) 特発性造血障害に関する調査研究班(研究代表者:小澤敬也):輸血後鉄過剰症の診療ガイド,2008
4) Yamasaki T, Terai S, Sakaida I : Deferoxamine for advanced Hepatocellular carcinoma. N Eng J Med 365:576-578,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら