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文献詳細

雑誌文献

検査と技術40巻12号

2012年11月発行

文献概要

オピニオン

臨床検査の実際を理解してもらうために―臨床検査担当者と医師との意思の疎通と一般への啓蒙

著者: 土屋達行1

所属機関: 1駿河台日本大学病院臨床検査医学科

ページ範囲:P.1355 - P.1355

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 近年,外来診療で診察前検査が普及し,病院内の検査室では多くの労力が診察前検査に当てられるようになった.外来採血室の患者のピークは9時前になり,検査部受付を開いてからすぐに患者が採血の順番待ちの行列を作るようになった.患者にかかる負担は,検査結果を聞くためだけに何回も受診する必要がなくなり少なくなった.医師は診察時間が短縮でき,しかもワルファリンなどの治療薬剤の調節も適切に行えるようになった.しかし,1時間以内で診察室のコンピュータ画面で検査結果が参照できることが当たり前になってしまったために,1時間で結果が参照できないと,問い合わせの電話が頻繁にかかるようになった.検査室では1時間以内で結果を出すための大変な努力をしているが,医師はどのようにしてこのような短時間で結果が出てくるのかを知ろうともしない.

 また,医師は検査結果を言うときに数字だけでほとんど単位を付けない.どのような小さな値を自分たちが扱っているかを認識しない医師も増えた.ナノテクノロジーなどというが,検査結果はナノなどはるかに通り過ぎて,貧血の分類に使用するMCVの単位がflであることも知らない医師もいる.このような小さい値を正確に出すための精度管理にどのくらい臨床検査技師たちが努力をしているのかも理解されていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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