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文献詳細

雑誌文献

検査と技術40巻13号

2012年12月発行

文献概要

技術講座 血液

鉄染色

著者: 松本恵美子1 染矢賢俊1 藤崎恵1 宮本望1 川上裕之1 柴尾あゆみ1 永田雅博1 橋本龍之1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構熊本医療センター臨床検査科

ページ範囲:P.1422 - P.1433

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新しい知見

World Health Organization(WHO)が2008年に刊行した白血病・リンパ系腫瘍の分類(WHO2008)で,鉄芽球性貧血,鉄芽球性不応性貧血やWHO2008で骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍,分類不能型に暫定的に分類された,著明な血小板増加を伴い環状鉄芽球を有する不応性貧血などでは,環状鉄芽球が全赤芽球の15%以上証明されることが条件となり,骨髄鉄染色の実施,およびその結果解析は重要である.また,生体の鉄代謝制御機構の破綻による鉄過剰症である遺伝性ヘモクロマトーシスは,常染色体劣性遺伝することが知られており,近年,染色体第6番にあるHFE遺伝子の他,TFR2遺伝子(トランスフェリン受容体2),HAMP遺伝子(ヘプシジン),HJV遺伝子(ヘモジュベリン),FPN1遺伝子(フェロポルチン:鉄の細胞外輸送蛋白)といった責任遺伝子群が次々と明らかになった.いずれかの遺伝子に異常があるとヘプシジンの産生が低下し,腸管からの鉄の取り込みが増加してヘモクロマトーシスになる.鉄過剰症は,他に輸血によるものや,サラセミアなどの無効造血に伴うものがあり,βサラセミアでは輸血を受けていなくてもgrowth differentiation factor 15(GDF15:TGFβスーパーファミリーの液成因子)が無効造血の骨髄から大量に分泌され,これが肝臓でのヘプシジン産生を抑制して,鉄過剰症を引き起こしていることも明らかになり(Nature Med 13:1096-1101,2007),結果,鉄過剰症が起こり,これが心不全や肝硬変など重篤な合併症を引き起こしている.鉄芽球性不応性貧血でも血清GDF15が異常高値となっていることが示されている.

参考文献

1) 川端浩:ヘプシジン(hepcidin)―そのがん性貧血における意義.Biotherapy 25:603-608,2011
2) 中竹俊彦:骨髄鉄染色法と臨床的意義.検査と技術 31:687-692,2003
3) 松田晃:鉄芽球性貧血.医療情報科学研究所(編):病気がみえる5.血液.メディックメディア,pp26-27,2008
4) 押味和夫(監),木崎昌弘,田丸淳一(著):WHO分類第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学.中外医学社,pp87-89,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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